服飾雑誌(読み)ふくしょくざっし

改訂新版 世界大百科事典 「服飾雑誌」の意味・わかりやすい解説

服飾雑誌 (ふくしょくざっし)

女性の服装を定期的に紹介する雑誌。この種の雑誌が現れたのは,18世紀末であった。《ギャレリー・オブ・ファッション》(1794-1803),《ジュルナル・デ・ダーム・エ・デ・モード》(1797-1839)などが早い例である。19世紀には《ラ・ベル・アサンブレ》(1806-32,1834-50),《ラ・モード》(1829-54),《ル・ボントン》(1834-74)などがあった。しかしこれらは高価で小部数のものであった。19世紀の半ばからC.F.ワースなどがパリ・ファッションを世界的に有名にし,その情報を伝える雑誌が求められた。また,イラストレーションの複製技術が発達し,世紀末から20世紀初頭にかけて絵入り雑誌が盛んになる。ベル・エポックといわれるこの時期には,女性的な曲線をもつアール・ヌーボーがはやり,女性の服装への関心が高まった。1912年には《ガゼット・デュ・ボン・トン》がL.ボーゲルによって発刊され,服飾雑誌の新しい時代を開く。パキャン,ワース,J.ランバン,P.ポアレなどのデザインが,J.バルビエなどのオリジナルな挿絵で紹介されていた。一方,アメリカでは《ボーグ》と《ハーパース・バザー》という大衆的な服飾雑誌がスタートし,毎年のパリ・モードをすぐに伝えるようになった。この間に写真の製版技術が発達し,1930年代には服飾雑誌の表紙はイラストレーションから写真に変わっていった。日本では最初スタイルブック《服装文化》が1934年,文化服装学院から出されている。第2次世界大戦後の47年には洋裁流行とともに同学院の《装苑》が,49年にはドレスメーカー女学院の《ドレスメーキング》が創刊されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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