木尻(読み)キジリ

デジタル大辞泉 「木尻」の意味・読み・例文・類語

き‐じり【木尻】

木の下端木材の根に近いほうの部分
炉端末席横座主人の座)の対面で、使用人などがすわる座。薪をここからくべるので、薪のしりが向くことから生じた名称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「木尻」の意味・読み・例文・類語

き‐じり【木尻】

〘名〙
① 木の下端。木材の根に近い部分。また、道具などの木部末端
※新任弁官抄(1158‐59頃)「外幣殿〈略〉正殿白木也。有木尻金物、余不然」
② 炉ばたで、最下位の者がすわる席。炉ばたの下座。
南小泉村(1907‐09)〈真山青果〉三「飯時も冬三ばかりは木尻(キジリ)に畏まって、雇人扱ひされて居ると云ふ噂である」
③ 川で木を流すとき、最後部にいて、沈んだりつかえたりしている材木を、下流に流すこと。また、その役目の人。
夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部「木鼻(きはな)・木尻(キジリ)作業もまだ始まってゐない」

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世界大百科事典(旧版)内の木尻の言及

【いろり(囲炉裏)】より

…横座に向かって右が嬶座(かかざ)で主婦が座り,嬶座の向いが客座であった。そして土間に近い部分が木尻とか下座(げざ)と呼ばれた。嬶座と客座は左右いれかわることもあるが,座の呼称は全国的に統一されているとみてよい(図)。…

【住居】より


【総説】
 住居の類語としては,すぐに住宅・住いがあげられる。住宅と住居を比べると,住宅のほうが人間のすみかとしての建物の側面を強く含意する。住い(すまひ)は〈すまふ〉の連用形の名詞化であり,当て字として〈住居〉を用いることがある。つまり住居と住いは一応同義ととらえてよいし,そこには住むという人間の能動的な営み,すなわち人の暮しが浮き出されている。《日本大辞書》(山田美妙著,1892‐93)によると,〈すむ〉には(1)居所を定める〈住む〉,(2)濁りがなくなる〈澄む(あるいは清む)〉,(3)事終わってすべて澄むの〈済む〉があてられており,《岩波古語辞典》では〈すみ(棲み・住み)〉は〈スミ(澄)〉と同根であり,あちこち動きまわるものが,一つ所に落ち着き定着する意とある。…

※「木尻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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