日本大百科全書(ニッポニカ) 「木村錦花」の意味・わかりやすい解説
木村錦花
きむらきんか
(1877―1960)
劇作家、歌舞伎(かぶき)研究家。東京・牛込岩戸町に生まれ、新富町に育つ。父が初世市川左団次一座にいた関係から子役で舞台に出たが、文筆志望で、1908年(明治41)岡鬼太郎(おにたろう)とともに2世左団次の明治座に入座。のち左団次が松竹専属になるのに従って松竹合名社に移り、幕内(まくうち)部長から28年(昭和3)には松竹株式会社の取締役となった。劇作は、2世市川猿之助のための『研辰(とぎたつ)の討たれ』『東海道中膝栗毛(ひざくりげ)』など多数あり、著書に『明治座物語』『近世劇壇史』『守田勘弥(かんや)』などがある。夫人の木村富子(とみこ)(1890―1944)も劇作家で、2世猿之助のために書き下ろした舞踊劇『高野物狂(こうやものぐるい)』『黒塚』『独楽(こま)』などが知られる。
[藤田 洋]