末梢神経系の形態

内科学 第10版 「末梢神経系の形態」の解説

末梢神経系の形態(末梢神経の形態の機能)

(2)末梢神経系の形態
 末梢神経幹は,神経上膜(epineurium)とよばれる厚い結合組織で包まれたいくつかの縦走する神経束(腓腹神経では通常5~15本)からなる.神経上膜内の構造物としては神経束のほか神経束を栄養する中小血管(vasa nervorum)があり,血管炎によるニューロパチーの際にはこれが病変の主座となる.各神経束の最外側には,同心円上に配列する扁平な細胞(perineurial cell)が数層をなし,これを神経周膜(perineurium)という.神経周膜の内側には神経内鞘(または神経内膜,endoneurium)とよばれる横断面が円形ないし類円形の空間があり,有髄・無髄の神経線維はこの中を通過する(図15-19-1,15-19-2).
 神経内鞘は中枢神経系と同じく特殊なバリアシステムによって全身循環系から隔絶されている.このバリアの主体をなすのはperineurial cellと神経内鞘内の微小血管内皮細胞で,血液神経関門(blood-nerve barrier)とよばれる.中枢神経系のバリアである血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の維持には隣接する星状膠細胞(astrocyte)からの液性因子が重要といわれているが,末梢神経神経内鞘には星状膠細胞に相当する細胞は存在せず,血液神経関門では内皮細胞に隣接して存在する血管周細胞(pericyte)がその役割を担っていると考えられている.
 神経内鞘内の構成線維は各神経の機能によって異なる.たとえば頸膨大部の前根では大径有髄線維(α運動線維)が大部分を占め,同部位の後根では小径線維の割合が高くなる.胸髄レベルの脊髄前根では交感神経節前線維の機能をもつ小径有髄線維が多数認められる.[神田 隆]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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