本坂峠(読み)ほんざかとうげ

日本歴史地名大系 「本坂峠」の解説

本坂峠
ほんざかとうげ

現在の三ヶ日町本坂と愛知県豊橋市嵩山すせ町との境界にある峠。標高三二六・八メートルで、猪鼻いのはな湖・浜名湖を遠望する。付近の国有林一帯には杉・檜の植林地のほか自然林があり、樹齢数百年の椿の原生林もみられる。「万葉集」巻三の高市連黒人の歌に「妹もわれも一つなれかも三河なる二見の道ゆ別れかねつる」とあるが、二見ふたみの道を本坂峠を越える本坂通とする説があるように(大日本地名辞書)、峠は古来より三河と遠江を結ぶ要衝にあった。大永二年(一五二二)五月には北国へ向かう連歌師宗長が峠を越えている(宗長日記)

本坂峠
ほんさかとうげ

本坂道、別称姫街道三河国遠江国の境にかかる峠。標高四四五メートル。新居あらい今切いまぎれ(現静岡県)海上を渡らないで陸路浜松はままつ(現静岡県)の東に至る。「宗長手記」に「本坂といふ越て、西郷宿所あないして、熊谷越後守館勝山一日ありて連歌あり」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「本坂峠」の意味・わかりやすい解説

本坂峠 (ほんざかとうげ)

愛知・静岡両県の境をなす弓張山脈を越え,豊橋市と浜松市の旧三ヶ日町を結ぶ標高380mの峠。近世には東海道脇往還姫街道(本坂通り,本坂道)が通っていた。現在は,峠下の本坂トンネルを国道362号線が走り尾根続きの南方には多米(ため)峠自動車道(1987年無料開放)が通じる。本坂峠付近は石巻山多米県立自然公園に属し,豊橋市の嵩山蛇穴(すせじやあな)(史)と呼ばれる鍾乳洞からは縄文時代の土器や石鏃などが出土している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本坂峠」の意味・わかりやすい解説

本坂峠
ほんざかとうげ

静岡県北西部、浜松市北区三ヶ日町(みっかびちょう)地区と愛知県豊橋市(とよはしし)との間にある峠。標高380メートル。湖西連峰を越える峠の一つで、古くから利用されたが、近世東海道の脇(わき)往還としての本坂通(姫街道)が本坂峠を通り、浜名湖北岸を経由していた。峠の茶屋跡や石畳が残る。国道362号が通じ、本坂トンネルは1978年(昭和53)に完成した。

[北川光雄]

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