家庭医学館 の解説
ほんたいせいしんせんろうじんせいしんせんかぞくせいしんせん【本態性振戦(老人性振戦/家族性振戦) Essential Tremor】
50歳以上の人にみられる震(ふる)えで、からだのどこにでもおこりますが、通常は、片側の手、ついで腕、反対側の手、腕と伝わっていくことが多いようです。発症に男女差はありません。
頭やくびの震えで始まることもありますが、この場合は、自分よりも周囲の人に指摘されて気づくことが多いようです。少量の飲酒で、これらの症状が軽くなることがあります。
原因は不明ですが、血のつながった家族にも同じ症状の人のいるケースがあるので、遺伝性の要素があるのかもしれません。
パーキンソン病とまちがわれることがありますが、パーキンソン病とはちがい、筋肉がかたくならないこと、方向転換時に倒れたりする姿勢反射異常がないことで明確に区別がつきます。
[治療]
β遮断薬(ベータしゃだんやく)(ブロッカー)のプロプラノロールを内服します。抗けいれん薬のプリミドン(マイソリン)が有効なこともあります。
一般的には、日常生活に悪影響をおよぼすことはほとんどないのですが、震えがきわめて強く、薬が効かず、日常生活に支障のある場合は、定位脳手術(ていいのうしゅじゅつ)(コラム「定位脳手術」)により、脳の一部を破壊する外科的な治療法もあります。