本省人(読み)ホンショウジン

デジタル大辞泉 「本省人」の意味・読み・例文・類語

ほんしょう‐じん〔ホンシヤウ‐〕【本省人】

中華民国台湾を統治する前から台湾に住んでいた漢民族のこと。→外省人

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「本省人」の解説

本省人(ほんしょうじん)

1945年8月15日以前から台湾に居住する漢族系住民およびその子孫。17世紀以降,台湾へ漢族移住が始まり,福建南部の泉州漳州(しょうしゅう)を出身地とする閩南(びんなん)人と広東東部を出身地とする客家(ハッカ)人が主な移民だった。開発過程で泉州系,漳州系,客家系ごとに村落が形成され,他のエスニック・グループと抗争したが,清末には安定した地域社会が成立した。これら漢族系住民は日本植民地期,本島人と呼ばれた(43年段階で約583万人,閩南系83%,客家系17%)。45年に台湾が中華民国に復帰すると,本島人は本省人と呼ばれ,45年から国民政府台湾移転までの中国大陸からの移住者は,外省人(がいしょうじん)と呼ばれた。国民党政権が政権維持に外省人を重用したため,本省人は外省人と対立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本省人」の意味・わかりやすい解説

本省人
ほんしょうじん

第2次世界大戦前より台湾に居住する台湾人。第2次世界大戦後に台湾に移住した大陸人 (外省人) と区別するために用いられ,つい最近まで台湾の住民登録で本籍欄で示されていた。 1948年の二・二八事件契機に,台湾政府と住民との間に政治的な緊張感が始った。特に 49年以後蒋介石父子と一緒に入ってきた外省人は台湾の政治のポストを独占し,国民の自由と政治権利を制限し権威主義体制を実行した。本省人と外省人の対立,あるいは省籍矛盾はこうした不平等な政治関係のなかで発生し,その後台湾の民主化・自由化,台湾のナショナリズムにつながった。だが 80年代後半から,国民党政府の台湾化方針,特に本省人の政治エリートへの登用,選挙の拡大,本籍制度の廃止などによって,省籍の矛盾がある程度解消されたとみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の本省人の言及

【台湾[省]】より

…高山族に対しては現在近代化政策がとられているので,かつての生活様式は大きく変わり,焼畑も姿を消しつつある。大陸系住民はまた先移住の本省人と後移住の外省人に分けられる。本省人とは,第2次大戦終結前までに開拓を主な目的として,対岸の福建・広東両省から入台した漢族とその末裔を指す。…

※「本省人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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