杉並病(読み)すぎなみびょう

百科事典マイペディア 「杉並病」の意味・わかりやすい解説

杉並病【すぎなみびょう】

東京都杉並区井草地区にある,都の不燃ゴミ中間処理施設〈杉並中継所〉付近に住む住民が,目や喉(のど),関節などの異常を訴えているもの。杉並中継所は1996年建設されたが,その後,付近の住民の健康被害が続出したことから,〈同施設が出す何らかの化学物質が原因〉とする住民側と,〈環境基準を超える化学物質は検出されておらず,施設が原因とは考えられない〉とする都との間で,対立が続いている。 この間,区や都が実施した大半の調査では,同中継所からの有害物質は基準値をはるかに下回っているが,一部調査の結果によって,基準値を超す有害物質が検出されたり,汚水処理が不十分で異臭騒ぎを起こしたりして,施設を一部改修していたという事実も判明した。 被害者は数百人規模に上るともいわれ,その一部は〈化学物質過敏症〉と診断された。症状は喉の痛みなどの耳鼻咽喉科系がもっとも多く,他に関節炎肩こりなど筋肉・関節系,頭痛や不眠などの神経精神症系など。しかし,同地域内の住民でも,何の異常もみられない人も多い。 2000年3月,都の調査委員会は〈中継所の排水槽の汚水から発生した硫化水素がおもな原因〉とする報告書を提出した。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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