杉村隆(読み)すぎむらたかし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杉村隆」の意味・わかりやすい解説

杉村隆
すぎむらたかし

[生]1926.4.20. 東京
[没]2020.9.6. 東京
生化学者,腫瘍学者。胃癌の発生過程や発癌物質に関する研究を通じて,癌治療の進歩に貢献した。1949年東京大学医学部卒業,1957年同大学より学位獲得。1962年国立がんセンター(→国立がん研究センター)研究所入所,1964年同生化学部長,1984年同センター総長。その間 1970年からは東京大学医科学研究所教授を併任。1994年東邦大学学長。変異原物質(→突然変異誘起物)の 4-ニトロキノリン-1-オキシド(4NQO)および N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)を投与したラットに線維芽肉腫が発生することを発見し,1967年に MNNGのラットへの経口投与で胃癌を発生させることに成功した。また,人々が日常摂取している加熱食品からヘテロサイクリックアミン構造をもつ変異原物質を数多く分離・同定し,発癌物質であることを証明,さらに発癌物質による癌が実際に遺伝子変化を起こしていることも示した。これらの研究は多段階発癌の機構解明と癌予防研究にも大きな貢献をした。1975年藤原賞,1976年日本学士院賞・恩賜賞受賞。1978年文化勲章,1998年勲一等瑞宝章を受章。2013年日本学士院院長に就任

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「杉村隆」の解説

杉村隆 すぎむら-たかし

1926- 昭和後期-平成時代の腫瘍学者。
大正15年4月20日生まれ。昭和45年東大教授となる。国立がんセンター研究所長をへて,59年総長。平成6年東邦大学長。胃がんを人工的に発生させることに成功。発がんの生化学的機構,発がん物質の研究で知られる。昭和51年学士院恩賜賞,53年文化勲章。平成9日本国際賞。東京出身。東大卒。

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