李清照(読み)りせいしょう

精選版 日本国語大辞典 「李清照」の意味・読み・例文・類語

り‐せいしょう ‥セイセウ【李清照】

中国北宋末の女流詞人。号は、易安居士漱玉金石の研究家趙明誠結婚。金軍に追われて南へ逃れ、夫の死後、江南各地流浪した。特に詞にすぐれ、宋の大家の一人。詞集に「漱玉詞」。生没年未詳。

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デジタル大辞泉 「李清照」の意味・読み・例文・類語

り‐せいしょう〔‐セイセウ〕【李清照】

[1084~?]中国、北宋の詩人。済南(山東省)の人。号は易安いあん居士。金石学者趙明誠に嫁し、研究を助けた。詩文とくに詞にすぐれた女流詩人。詞集に「漱玉詞」がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李清照」の意味・わかりやすい解説

李清照
りせいしょう
(1084―1151?)

中国、宋(そう)代の女流詞人。号は易安(いあん)居士。済南(山東省)の人。文学、芸術に通じた才女で、金石学者として知られる趙明誠(ちょうめいせい)に嫁し、趣味と学問の優雅な生活をともにしたが、北宋末の金軍の侵略のため江南に逃れ、ついで夫に死別晩年浙江(せっこう)省に流寓(りゅうぐう)し、再婚、離婚を経験するなど不遇であった。明誠の著述『金石録』は彼女の協力によってなったという。当時流行の歌辞文芸「詞」の作家としてことに有名。清新な感覚警抜な表現をもって傑出し、女流詞人の第一人者としての名声がある。詞集は『漱玉(そうぎょく)詞』一巻。また詩文をもあわせた新しい輯本(しゅうほん)『李清照集』(1962)がある。

村上哲見

『中田勇次郎著『漢詩大系24 歴代名詞選』(1965・集英社)』『村上哲見注『中国詩文選21 宋詞』(1973・筑摩書房)』

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改訂新版 世界大百科事典 「李清照」の意味・わかりやすい解説

李清照 (りせいしょう)
Lǐ Qīng zhào
生没年:1084-1151?

中国,宋代の女流詞人。号は易安居士。山東省済南の人。詩文書画に秀でた才女で,《金石録》の著者として知られる趙明誠に嫁し,趣味と学問の生活をともにしたが,北宋の滅亡の混乱期に夫に死なれ,江南地方に流寓して卒した。当時流行の歌辞文芸,作者として有名で,警抜な表現と優雅な風格を備える。詞集は《漱玉詞》1巻。詩文を併せた新しい輯本(しゆうほん)《李清照集》(1962)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李清照」の意味・わかりやすい解説

李清照
りせいしょう
Li Qing-zhao

[生]元豊7(1084)
[没]?
中国,北宋末の女流詞人。済南 (山東省) の人。号,易安。『洛陽名園記』の著者李格非の娘。金石学者趙明誠の妻。 18歳で結婚。才媛で,金石文の採集,研究に夫を助けて『金石録』 (30巻) を完成させた。宋の南渡後,明誠は建康で病没し,その直後から戦乱に巻込まれ,江南地方を転々と流離し,膨大な蔵書,古器,拓本を次々に失い,晩年は悲惨な境遇に終ったという。詞人としては婉約派の正統を受け,夫への追慕,流亡の愁苦をうたって,繊細な情熱を清新な発想で表現し,宋代を通じて一流に数えられる。詞集『漱玉詞』,文集『漱石集』。

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百科事典マイペディア 「李清照」の意味・わかりやすい解説

李清照【りせいしょう】

中国,南宋の女性詞人。山東省の人。号は易安居士。金石学者の趙明誠と結婚。1129年趙の死後,金の侵入,宋の南渡の動乱期にあい,各地を流浪。情趣の美しさ,感覚の新しさでは屈指の作家。詞集《漱玉詞》1巻。

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世界大百科事典(旧版)内の李清照の言及

【金石録】より

…著録はすべて自分の収集した拓本により,体裁は先輩の欧陽修の《集古録跋尾(ばつび)》にならった。巻末に付された趙明誠の妻である李清照の跋は,名文として知られている。清代の葉苞(しようらんほう)の《金石録補》《続跋》は本書未著録の金石文を補ったもの。…

【女流文学】より

…また,女性たちが地方色豊かな作品を生み出し地方主義文学の主要な担い手であることは無視できない。【佐藤 宏子】
[中国]
 胡文楷の《歴代婦女著作考》は,漢代から清末まで4000人余の女流著述家を著録するが,その中で文学史上とくに名を知られるのは,わずかに後漢の蔡琰(さいえん),唐の薛濤(せつとう),魚玄機,宋の李清照など数名にすぎない。その中では韻文の一ジャンルである詞において堂々の詩論をもつ李清照が独自の世界をうたいあげた出色の存在である。…

【中国文学】より

…しかし彼らの作はやはり例外的であり,詩余の歌曲のメロディはおそらく,やるせない悲しみをうたうのに最も適していたと思われる。李清照(易安)のような女流詩人が,このジャンルのすぐれた作家であったのは偶然でない。その歌曲の流行が衰えた13世紀以後には〈詩余〉を作る人も少なくなる。…

※「李清照」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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