村上(市)(読み)むらかみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「村上(市)」の意味・わかりやすい解説

村上(市)
むらかみ

新潟県北部の中心をなす旧城下町を中核とする市。1954年(昭和29)村上、岩船(いわふね)、瀬波(せなみ)の3町と山辺里(さべり)、上海府(かみかいふ)の2村が合併して市制施行。2008年(平成20)岩船郡荒川町(あらかわまち)、神林村(かみはやしむら)、朝日村(あさひむら)、山北町(さんぽくまち)を合併。下越平野の北端、三面盆地(みおもてぼんち)の南端に位置し、蒲萄(ぶどう)、朝日山地に囲まれている。JR羽越本線と国道7号、113号、290号、345号が通じる。市のシンボルをなす臥牛(がぎゅう)山は、中世小泉庄(こいずみのしょう)を領有した本荘繁長(ほんじょうしげなが)の居城があった。近世は加賀小松城から村上義明(よしあき)が移封し、さらに堀直寄(なおより)に引き継がれて、山麓(さんろく)に平城(ひらじろ)の舞鶴(まいづる)城と城下町が築かれ、町も「村上」と改められた。古い山城(やまじろ)城下町から近世の平城城下町に改造された典型的な城下町で、諸形態がそのまま保存され、県の史跡・名勝に指定されている。いまの中心商店街をなす本町通りが町人町で、山麓の士族の町は「村上本(もと)町」とよばれていた。古くから2、7日の六斎市(ろくさいいち)場でにぎわい、西奈弥(せなみ)羽黒神社で行われる村上大祭に引き出される山車(だし)は名物で、昔のおもかげをしのばせている。茶の商業的栽培の北限といわれる村上茶と県の文化財工芸品に指定されている木彫堆朱(ついしゅ)が名産である。藩の殖産興業策から発展した三面川のサケ漁はいまも盛んで、その収益は藩士の育英資金に利用され人材の養成に役立ってきた。岩船は、古くから日本海側の漁港として栄え、磐舟柵(いわふねのき)や延喜(えんぎ)式内社岩船神社がある。これに続く瀬波は三面川河口の漁村と温泉町からなり、上海府海岸とともに海岸景勝地になっている。面積1174.17平方キロメートル(境界一部未定)、人口5万7418(2020)。

[山崎久雄]


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