東塔(読み)とうとう

精選版 日本国語大辞典 「東塔」の意味・読み・例文・類語

とう‐とう ‥タフ【東塔】

(「とうどう」とも)
[1] 寺院にある東西両塔のうち、東方にあるもの。
[2] 滋賀県大津市坂本の比叡山延暦寺の中心的地区。西塔・横川(よかわ)とともに三塔という。比叡山の東面の中腹にあって、一山の中央部にあたり、根本中堂戒壇堂大講堂浄土院無動寺などがあり、また、それらの寺院、堂塔総称する。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「山の西塔・東塔・横河、山階寺仁和寺三井寺に」

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デジタル大辞泉 「東塔」の意味・読み・例文・類語

とう‐とう〔‐タフ〕【東塔】

東西両塔のうち東にある塔。
比叡山延暦寺の三塔の一。延暦寺の中心地域で、比叡山東側の中腹にある根本中堂戒壇院などを含む堂塔の総称。

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日本歴史地名大系 「東塔」の解説

東塔
とうとう

延暦寺境域の南部一帯を占める一山の中心地域。東塔の名は初め東塔院という建物の名であったが、九院十六院の整備ほか多くの堂舎僧坊が建立されるに伴い、教団的な組織体、および地域一帯を総称するものとなった。東塔は五谷に分れ、根本中堂を中心に南谷・東谷・北谷・西谷と、南谷のさらに南の無動寺むどうじ谷がある。ただし一乗止観いちじようしかん院をはじめとする主要堂舎群はどの谷にも属さず、惣堂分(「三院記」ほか)または本院分とよばれる。平安時代末または鎌倉時代中期の成立という「叡岳要記」には大乗止観だいじようしかん院・法華三昧ほつけざんまい(法華堂)般舟三昧はんじゆざんまい(常行堂)覚意三昧かくいざんまい院・総持そうじ(東塔院)戒壇かいだん院・浄土じようど院・定心じようしん院・四王しのう院・八部はちぶ院・山王さんのう院・大講だいこう堂・根本神宮こんぽんじんぐう寺・政所大炊まんどころおおい(大黒堂)鐘台しようだい文殊もんじゆ(院)じき堂・御経蔵などがみえる。

東塔
とうとう

[現在地名]高野町高野山

三昧さんまい堂の東隣にあり、壇上伽藍東端にあたる。大治二年(一一二七)白河法皇の御願として、醍醐寺三宝さんぽう(現京都市伏見区)勝覚が創建した。「長秋記」によれば大治二年一一月四日、白河・鳥羽両上皇が高野山に参詣し、「渡御東御塔(中略)、件御塔、長吏権僧正、本院御祈所被造立也、九輪鉄以尊勝不動尊降三世安置其中」とあり、両院そろって臨幸した。「金剛峯寺巡礼日記」ほかによれば、大治二年一一月、法界定印の上に鈴をのせた白河法皇等身の金色尊勝仏と不動・降三世を安置する高さ七丈、三間四面の塔とあり、勝覚を導師に検校良禅を呪願とし、二〇口を西塔、一〇口を東塔供養の色衆として落慶供養が執り行われた。

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百科事典マイペディア 「東塔」の意味・わかりやすい解説

東塔【とうとう】

比叡山を形成する三塔の一つ。五谷に分かれる。比叡山の主要部で,根本中堂を中心に大講堂,戒壇院,文殊院,浄土院,無動寺などがある。最澄円仁らの廟所慈円親鸞らの旧跡。→西塔横川(よかわ)
→関連項目延暦寺

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世界大百科事典(旧版)内の東塔の言及

【延暦寺】より

…その後豊臣,徳川2氏が寺領を寄進して諸堂の復興を助け,1636年(寛永13)には根本中堂の復興が成り,しだいに旧観に復した。園城寺日吉大社
[堂塔]
 近江,山城2国にわたる広大な山上の寺域は三塔(東塔,西塔,横川(よかわ)),十六谷に分かれる。東塔は,東・西・南・北・無動寺の五谷より成り,もっとも早く開かれた寺域で,一山の本堂である根本中堂をはじめ,大講堂,戒壇院,文殊楼,総持院,浄土院(最澄の廟所),無動寺等がある。…

※「東塔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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