板間(読み)いたのま

精選版 日本国語大辞典 「板間」の意味・読み・例文・類語

いた‐の‐ま【板間】

〘名〙
① 板敷きのへや。床(ゆか)を板敷きにしただけで畳を敷かない所。いたま。〔書言字考節用集(1717)〕
② 特に、風呂屋の脱衣場。また、古くは、板敷きの洗い場
※備前老人物語(17C前か)「風炉をたく時は、男弐人板の間におきて垢かき」
※雑俳・柳多留‐四一(1808)「板の間と長田(おさだ)異名を付られる」
④ 劇場の舞台。略して、板(いた)とも。
⑤ (歌舞伎楽屋の用語。薄縁(うすべり)を敷いただけの板の間であったところから) 三階の、大部屋と称する広間。また、相中(あいちゅう)中通(ちゅうどおり)階級役者。東京では、新富座の中期(明治一三、四年頃)から、畳を敷くようになり、この名称はすたれた。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「本中、合中、いたのま、お囃子、みんながばりつく能顔だ」
⑥ 岡場所などの下働きの下女。
※雑俳・冠付五百題(1857)「はさみ・板の間おれに惚れとおる」

いた‐ま【板間】

〘名〙
板屋根の葺(ふ)き板などの透き間や裂け目
古今(905‐914)雑体・一〇〇二「わが宿の しのぶ草生ふる いたまあらみ〈紀貫之〉」
源氏(1001‐14頃)手習「ねやの板まもしるしありやと」
② 床を板敷きにしてある所。板の間。
※室町殿日記(1602頃)一〇「中の板間にこしをかけて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「板間」の意味・読み・例文・類語

いた‐ま【板間】

床を板敷きにしてある部屋。板の間。
板葺いたぶきの屋根の板と板とのすきま。
「山の端に入るまで月をながめ見むねやの―もしるしありやと」〈・手習〉

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