枕崎台風(読み)マクラザキタイフウ

デジタル大辞泉 「枕崎台風」の意味・読み・例文・類語

まくらざき‐たいふう【枕崎台風】

昭和20年(1945)9月17日枕崎付近に上陸した大型台風九州を縦断し、広島付近から日本海へ進んだ。最低気圧916.6ヘクトパスカル広島県中心に、全国死者・行方不明者は3756名に達した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「枕崎台風」の意味・わかりやすい解説

枕崎台風
まくらざきたいふう

1945年(昭和20)9月17~18日に九州から関東各地風水害をもたらした台風第16号。17日14時過ぎに鹿児島県枕崎付近へ上陸し、さらに北東進して広島付近を経て日本海へ抜けた。台風の名称は上陸した枕崎という地名からきている。枕崎では最低気圧916.6ヘクトパスカルを観測するなど台風の規模は1934年(昭和9)の第一室戸(むろと)台風に匹敵する。九州・四国・中国地方は暴風雨となり、瀬戸内海では高潮が、また広島・山口両県内では山津波が発生して大きな被害が出た。全国の死者・行方不明者数が3756人と大きな被害となったのは、台風が非常に強かったこと、台風来襲前からの雨で表土層が水分を含んでいたことに加えて、第二次世界大戦中の国土荒廃戦後混乱のなかでの防災機能の低下があげられる。とくに被害が大きかった県は原爆投下後まもない広島県で、急斜面での山崩れ土石流河川堤防決壊・流出が相次ぎ死者・行方不明者2012人と台風の上陸した九州全体より多かった。

饒村 曜]

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改訂新版 世界大百科事典 「枕崎台風」の意味・わかりやすい解説

枕崎台風 (まくらざきたいふう)

第2次世界大戦の終戦1ヵ月後の1945年9月17日に,荒れ果てた日本の国土を襲った台風。鹿児島県西岸の枕崎に中心示度916.6mbで上陸したのち,広島の西をかすめて北西進した。全国の死者・行方不明3756人,広島県だけで死者・行方不明2012人が出たのは,広島の原爆投下直後の無防備の住民を襲ったためで,現在では考えられない大被害である。防災体制のあるなしで被害がいかに異なるかをはっきりと示した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「枕崎台風」の意味・わかりやすい解説

枕崎台風
まくらざきたいふう

1945年9月17~18日,太平洋戦争終結直後に西日本を襲った台風第16号。17日に鹿児島県枕崎市付近に上陸,瀬戸内海,兵庫県豊岡市を経て日本海に入り,能登半島,山形県酒田市から東北地方を横断し岩手県宮古市を通って三陸沖に抜けた。枕崎では最低気圧 916.1hPa,最大瞬間風速 62.7 m/sを記録。各地で猛威をふるい,戦後間もない時期で気象情報が少なく,防災体制も十分でなかったため,死者・行方不明者は 3756人に達した。特に広島県では,広島市で最大風速 30.2m/s(最大瞬間風速 45.3m/s)の暴風が吹くなどし,2000人をこえる死者・行方不明者が出た。

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百科事典マイペディア 「枕崎台風」の意味・わかりやすい解説

枕崎台風【まくらざきたいふう】

1945年9月17日,枕崎に上陸した大型台風。枕崎における最低気圧916.6hPa,最大風速毎秒40m。被害地域は関東および中部以西。死者・行方不明3756名,家屋全壊5万8432戸。

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