(読み)やわい

精選版 日本国語大辞典 「柔」の意味・読み・例文・類語

やわ・い やはい【柔】

〘形口〙 やは・し 〘形ク〙
弾力性に富んでいる。やわらかい。
※交隣須知(18C中か)二「熟鰒 ユテアワヒヲ ヨクニテサシヤレイ ヤワイホトヨフゴサル」
② もろくて崩れやすい。堅固に出来ていない。
落語・たがや(1897)〈四代目橘家円蔵〉「附け方がヤワかった者か、はづみは酷い者で有ります」
③ 弱々しい。きゃしゃである。
④ おだやかである。柔和である。
邪宗門(1909)〈北原白秋外光印象暮春「ものあたたかに、くるほしく、やはく、まぶしく、蒸し淀む夕日の光」
やわ‐さ
〘名〙

じゅう ジウ【柔】

〘名〙 (形動) やわらかいこと。おとなしいこと。また、そのさまやそのもの。
史記抄(1477)三「剛は陽、柔は陰也」
日本読本(1887)〈新保磐次〉四「葦は柔にして能く風に順ひ」 〔書経‐皐陶謨〕

やらこ・い【柔】

〘形口〙 =やわらかい(柔)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「鱣なども御当地のは和(ヤラコ)いばかりでもみないがな」

やわ・し やはし【柔】

〘形ク〙 ⇒やわい(柔)

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デジタル大辞泉 「柔」の意味・読み・例文・類語

やわ〔やは〕【柔】

[形動][文][ナリ]やわらかいさま。こわれやすいさま。また、ひよわなさま。「なからだつき」「な造りの門扉」「な精神」
[類語]弱いもろやわ軟弱脆弱ぜいじゃく繊弱孱弱せんじゃく華奢きゃしゃか弱いひ弱い小心弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり内気怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小胆小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱優柔不断弱弱しい女女しい弱音を吐く音を上げる悲鳴を上げる気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい肝っ玉が小さい温順柔順従順温柔温良順良素直穏和おだやか物静かおとなしやか控えめ優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイひよわ虚弱羸弱るいじゃく尩弱おうじゃく病弱劣弱弱体まだるっこいまどろっこい手ぬるい生ぬるいのろ臭い間怠まだる間怠まだるこしいうやむやあやふや漠然おぼろげ曖昧どっちつかず要領を得ないぬらりくらりぬらくらのらりくらりのらくらぼやかす無節操洞ヶ峠言を左右にする言葉を濁す心静か安らか安穏のどか悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどりしなやかしとやかなよやかなよなよしっとり物柔らか静静しずしずソフトおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい柔和温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容春風駘蕩たいとう穏便粛粛静謐せいひつ静粛

じゅう【柔】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジュウジウ)(漢) ニュウ(ニウ)(慣) [訓]やわらか やわらかい やわら
〈ジュウ〉
やわらかい。しなやかで弱い。「柔軟優柔不断
心がやさしい。おだやか。「柔順温柔外柔内剛
やわらげる。「懐柔
武術・武道の一。やわら。「柔術柔道
ニュウ
しなやかで弱い。「柔弱
心がやさしい。「柔和
[名のり]とお・なり・やす・やわ・よし

にゅう【柔】[漢字項目]

じゅう

じゅう〔ジウ〕【柔】

やわらかいこと。また、そのもの。「外内剛」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柔」の意味・わかりやすい解説


やわら

柔術(じゅうじゅつ)の俗称。和、柔和、弥和羅(やわら)、和術(わじゅつ)、和儀(やわらぎ)などとも書いた。中世以来の戦場技術としての甲冑組討(かっちゅうくみう)ちは、ただ自分の体力や腕力に任せて、一挙に敵を圧倒しこれをしとめることが主体で、強剛の敵に強くしかけられたときには、かえって相手に取(と)り挫(ひし)がれる危険があった。そこで、相手の力をかりて、引き込み、投げ返し、はね返して、後(ご)の勝ちを第一とする術が重要視されるようになった。とくに足軽の集団戦闘が増大すると、手搏(しゅばく)・捕手(ほしゅ)の術が考案され、やがて素肌者(すはだもの)同士の近世の柔術へと大きく発展を遂げた。その先駆となったのは、天文(てんぶん)年間(1532~55)作州(さくしゅう)(岡山県)の竹内中務大夫久盛(たけのうちなかつかさだゆうひさもり)が創始した小具足腰廻(こぐそくこしのまわり)で、ついで、近世の初め1622年(元和8)に福野七郎右衛門(しちろうえもん)の考案した良移心当和(りょういしんとうやわら)や、水早長左衛門信正(みずはやちょうざえもんのぶまさ)の制剛流(せいごうりゅう)やわら五身伝(ごしんでん)が現れ、寛永(かんえい)年間(1624~44)には寺田平左衛門の貞心流(ていしんりゅう)解(ほぐれ)や茨木専斎(いばらぎせんさい)の起倒流(きとうりゅう)流(みだれ)、小栗(おぐり)仁右衛門の小栗流和術(わじゅつ)、さらに関口氏心(うじむね)の新心流(しんしんりゅう)柔(やわら)などが相次いで成立するに至った。

[渡邉一郎]

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デジタル大辞泉プラス 「柔」の解説

日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、美空ひばり。1964年発売。作詞:関沢新一、作曲:古賀政男。同年より日本テレビ系列で放送されたドラマ「柔(やわら)」の主題歌に起用。1965年、第7回日本レコード大賞受賞。

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改訂新版 世界大百科事典 「柔」の意味・わかりやすい解説

柔 (やわら)

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百科事典マイペディア 「柔」の意味・わかりやすい解説

柔【やわら】

柔術

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柔」の意味・わかりやすい解説


やわら

柔術」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【柔道】より

…古来の柔術に改良を加えて創始された武道。嘉納治五郎は体育,修心,勝負を目的とする教育的観点から講道館柔道を創始した。…

※「柔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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