柵戸(読み)きのへ

精選版 日本国語大辞典 「柵戸」の意味・読み・例文・類語

き‐の‐へ【柵戸】

〘名〙 (「き」は城柵(じょうさく)、とりでをさす) 奈良平安時代陸奥出羽越後などに設けた城柵の中に土着させた民家。柵を守る民であり、後の屯田兵にあたる。きへ。
書紀(720)大化三年是歳(北野本訓)「渟足(ぬたり)の柵(き)を造りて、柵戸(キノヘ)を置く」

き‐へ【柵戸】

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「柵戸」の解説

柵戸
さくこ

「きのへ・きへ」とも。古代東北地方や南九州地方にたてられた城柵に付属した民。東北地方の蝦夷(えみし)に対した城柵の柵戸が著名。政府は城柵をたて,柵戸を諸国から移配し,城柵の周りに住まわせて開拓させ,しだいにその地域に律令制支配をうちたてていった。はじめ一般民戸を戸単位に移配したが,やがて人単位となり,8世紀中頃以降,浮浪人罪人が送りこまれるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の柵戸の言及

【木戸】より

…現代では,戸外にある木製の簡単な構造の戸をさすが,古代・中世には柵戸,ないし城戸と書かれ,柵や城郭の出入口を意味した。ついで近世では,城下町の郭内への出入口などの軍事的要素の強い門のこともいうが,主として江戸・大坂などの大都市の表通りの町境の要所に設けられた門のことを意味するようになる。…

※「柵戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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