柿右衛門(1世)(読み)かきえもん[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柿右衛門(1世)」の意味・わかりやすい解説

柿右衛門(1世)
かきえもん[いっせい]

[生]慶長1(1596).肥前
[没]寛文6(1666).6. 肥前
江戸時代初期の有田陶工赤絵磁器の創始者といわれる。瓦工酒井田円西の子。名は喜左衛門,赤絵の完成後,柿右衛門と改名。元和1 (1615) 年頃,父とともに有田南川原に移住,古唐津風の陶器を焼く。同3年頃,陶工高原五郎七に会い,その指導を受けて染付磁器の改良に努める。また,伊万里の陶商東島徳左衛門が長崎居留の中国人周辰官から赤絵の方法を学んだと聞き,出向いて徳左衛門と協力して工夫を重ね,寛永末年 (43) 赤絵の焼成に成功したという。作品は鉢,皿,徳利,蓋物,水差し花瓶置物などで,光沢ある乳白色の素地に赤,緑,金,黄,青,紫,黒などの彩釉を用い,繊細な筆致で各種の絵文様を上絵付けした濁手 (にごしで) と,半透明な染付磁器の上に上絵を焼付けた染錦手とがある。なお,正保年間 (44~48) から彼の作品はヨーロッパに輸出され,各地でその写し (→柿右衛門様式 ) が作られるなど,世界の陶磁界に大きな影響を与えた。

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