栄久庵憲司(読み)えくあんけんじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栄久庵憲司」の意味・わかりやすい解説

栄久庵憲司
えくあんけんじ

[生]1929.9.11. 東京
[没]2015.2.8. 東京,新宿
工業デザイナー。キッコーマンのためにデザインした赤いキャップの醤油卓上瓶(1961)で一世を風靡した。ヤマハ発動機オートバイ VMAX,東日本旅客鉄道(JR東日本)の秋田新幹線「こまち」,成田エクスプレスのデザインでも知られる。1945年にアメリカ合衆国が投下した原子爆弾によって灰燼に帰した故郷広島の姿を見た衝撃が,美しいものをつくりたいという熱望につながったと述べている。1955年に東京芸術大学を卒業後,1957年にデザイン会社 GKインダストリアルデザイン研究所(のちの GKデザイングループ)を設立。1995年に日本デザイン機構の会長就任。さらに 1998年には,デザインを通じて社会的弱者の問題を解決することを目指した国際組織,世界デザイン機構を設立,2003年まで会長を務めた。2005年,醤油卓上瓶はニューヨーク近代美術館 MoMAの常設展示品に加えられた。1992年藍綬褒章,2000年勲四等旭日小綬章,2014年コンパッソ・ドーロ国際功労賞を授与された。(→インダストリアル・デザイン

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「栄久庵憲司」の解説

栄久庵憲司 えくあん-けんじ

1929-2015 昭和後期-平成時代のインダストリアルデザイナー
昭和4年9月11日生まれ。昭和32年GKインダストリアルデザイン研究所を設立。キッコーマンの卓上醤油(しょうゆ)びんやヤマハのオートバイのデザインで知られ,国内外で受賞多数。50年国際インダストリアルデザイン団体協議会会長。平成3年GKデザイン機構会長。4年通産省デザイン功労者。10年世界デザイン機構初代会長。平成27年2月8日死去。85歳。東京出身。東京芸大卒。著作に「道具考」「幕の内弁当美学」など。

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