校書殿(読み)きょうしょでん

精選版 日本国語大辞典 「校書殿」の意味・読み・例文・類語

きょうしょ‐でん ケウショ‥【校書殿】

内裏(だいり)殿舎一つ清涼殿の南、安福殿の北にあり、歴代書物整理保管し、蔵人(くろうど)事務をつかさどった。ふみどの。ふどの。
三代実録‐貞観元年(859)四月二三日「安倍朝臣安仁〈略〉少直校書殿

こうしょ‐でん カウショ‥【校書殿】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「校書殿」の意味・読み・例文・類語

きょうしょ‐でん〔ケウシヨ‐〕【校書殿】

平安京内裏十七殿の一。清涼殿せいりょうでんの南、安福殿の北にある。歴代の書物を保管した。文殿ふみどの・ふどの

こうしょ‐でん〔カウシヨ‐〕【校書殿】

きょうしょでん(校書殿)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「校書殿」の意味・わかりやすい解説

校書殿 (きょうしょでん)

平安宮内裏の殿舎。紫宸殿の西に位置し,南にある安福殿とならんで,東側にある宜陽殿(ぎようでん),春興殿と相対する。9世紀初めの弘仁年間にはその存在が確認できるので,平安宮創建のときから設けられたと推定できる。桁行9間,梁行2間の身舎の四面に廂(ひさし)をつけた南北棟建物で,東を正面とする。身舎は一部を塗籠(ぬりごめ)とし,書籍を中心とする御物を収蔵したので,一名文殿(ふみどの)とも称する。西廂には北に蔵人所(くろうどどころ),南に校書所をおく。蔵人所では収蔵の書籍の校定や漢籍の講書を行うことがあった。東廂には南に右近衛陣があり,そこで911年(延喜11)ころクジャクを飼ったので,孔雀間の称がある。東側の庭を賭射(のりゆみ)の射場に用いたので,東廂の北に天皇が観戦する射場殿(いばどの)を設けた。北廂には下侍をおいた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「校書殿」の意味・わかりやすい解説

校書殿
きょうしょでん

平安宮内裏(だいり)の殿舎の名。文殿(ふどの)ともいう。清涼殿の南にあり、檜皮葺(ひわだぶ)きで、南北9間、東西2間の母屋(もや)の、四面に廂(ひさし)がある東向きの建物。母屋は納殿(おさめどの)ともいい、歴代の書物などが保管された。810年(弘仁1)、納殿の管理や文書の取扱いにあたる蔵人所(くろうどどころ)が設置され、のちに宮中の事務全体を掌握した。北廂には下侍(しもさぶらい)(蔵人などの控室)があり、西廂の北側には、出納(しゅつのう)(蔵人所で、文書・雑具の出し入れにあたった職)・小舎人(こどねり)(殿上の雑用係)の控室、そして南側に校書殿を管理する校書所(どころ)があった。東廂の南側は右近衛陣座で、紫宸殿(ししんでん)東廊にある左近衛陣座とともに、仗議(じょうぎ)(公卿(くぎょう)が政(まつりごと)を評議する会議)の場であった。

[吉田早苗]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android