桂園一枝(読み)けいえんいっし

精選版 日本国語大辞典 「桂園一枝」の意味・読み・例文・類語

けいえんいっし ケイヱン‥【桂園一枝】

江戸末期の私家集。三巻。香川景樹の歌を収める。自撰文政一一年(一八二八成立、同一三年刊。四季恋歌雑歌雑体長歌旋頭歌俳諧歌)のほか、「事につき時にふれたる」の部立を設け、九八三首を収める。嘉永三年(一八五〇)に拾遺刊。

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デジタル大辞泉 「桂園一枝」の意味・読み・例文・類語

けいえんいっし〔ケイヱンイツシ〕【桂園一枝】

江戸末期の私家集。3巻。香川景樹の自撰。天保元年(1830)刊。古今調で清新の気に富んだ983首を収める。

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改訂新版 世界大百科事典 「桂園一枝」の意味・わかりやすい解説

桂園一枝 (けいえんいっし)

香川景樹の自撰歌集で,1828年(文政11)成立,30年刊。四季・事につき時にふれたる・恋・雑・雑体(長歌,旋頭歌,俳諧歌)の部立がなされ,983首を収める。古今調の流麗・優美な歌風を特徴とするが,あるがままの純粋感情を重んじた歌論に沿った〈事につき時にふれたる〉に独自な境地を開き,江戸時代後期を代表する歌集とされる。ほかに,没後に編まれた《桂園一枝拾遺》がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桂園一枝」の意味・わかりやすい解説

桂園一枝
けいえんいっし

香川景樹(かげき)(号、桂園)の自撰(じせん)家集。1830年(文政13)刊行書名は『晋書(しんじょ)』の「猶桂林一枝崑山片玉(なおけいりんいっしこんざんへんぎょくのごとし)」からとられた。春・夏・秋・冬・恋・雑・事につき時に触れたる・雑体(長歌・旋頭歌(せどうか)・俳諧(はいかい)歌)に部類し、計983首が収められている。「筏(いかだ)おろす清滝川のたきつ瀬にちりて流るゝ山吹のはな」にみられるように、調(しらべ)を基調とする清新優雅な歌風が特色である。また、『桂園一枝拾遺』は計612首を収め、1849年(嘉永2)に刊行された。

[兼清正徳]

『『桂園一枝 全』(1934・有朋堂文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桂園一枝」の意味・わかりやすい解説

桂園一枝
けいえんいっし

江戸時代後期の歌集。香川景樹著。3巻。文政 11 (1828) 年自選,同 13年刊。春,夏,秋,冬,「事につき時にふれたる」,恋,雑,雑体の各部に分類され,歌数は 983首。題詠が多いが,若い頃上京した際の歌,本居宣長にすすめられて詠んだ歌など,伝記的に注目される作もある。「事につき時にふれたる」は,内容的には四季歌,雑歌などから成り,佳作が少くない。歌風はおおむね平明温雅。なお,嘉永2 (49) 年,門弟渡忠秋が編んだ『桂園一枝拾遺』 (2巻) がある。

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百科事典マイペディア 「桂園一枝」の意味・わかりやすい解説

桂園一枝【けいえんいっし】

香川景樹の歌集。3巻3冊。1828年成立,1830年刊。四季,恋,雑,雑体(長歌,旋頭歌(せどうか),俳諧(はいかい)歌)からなる。持論の〈しらべ〉を実践した流麗清新な歌風である。当時から論難,弁護の両論が盛んであった。続編は《桂園一枝拾遺》2巻2冊で,渡忠秋編,没後の1850年刊。

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旺文社日本史事典 三訂版 「桂園一枝」の解説

桂園一枝
けいえんいっし

江戸後期,香川景樹の自撰歌集
1830年刊。3巻。小沢蘆庵の「ただごと歌」の主張をさらに発展させ,清新な歌風をもって京都の歌壇に君臨した桂園派の代表作。『古今和歌集』の歌風を理想とし,紀貫之を歌聖と仰ぎ,その実践としてこの集を撰した。

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