桐壺（読み）きりつぼ

精選版 日本国語大辞典

きり‐つぼ【桐壺】

[1]

[一] (中庭に桐が植えてあるところから) 宮中五舎の一つ、淑景舎(しげいしゃ)をいう。

※源氏（1001‐14頃）桐壺「御つぼねは桐壺也」

[二] 「源氏物語」第一帖の名。光源氏誕生から一二歳まで。帝の寵愛を一身に受け光源氏を生んだ母桐壺更衣の死、源氏の臣籍降下、亡き更衣と生き写しの藤壺の入内(じゅだい)、源氏と葵の上との結婚および藤壺への深い思慕など、物語の重要な伏線が描かれる。

[2] 〘名〙 植物「あきちょうじ（秋丁子）」の異名。〔日本植物名彙（1884）〕

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

きり‐つぼ【桐壺】

《庭に桐の木が植えてあったところから》宮中五舎の一。平安京内裏の淑景舎しげいしゃの別称。
源氏物語第1巻の巻名。光源氏の母桐壺更衣の死、源氏の臣籍しんせき降下、藤壺の入内じゅだい、源氏と葵の上との結婚、亡き母に生き写しの藤壺への源氏の思慕などが描かれる。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

桐壺 (きりつぼ)

→淑景舎（しげいしゃ）

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

桐壺【きりつぼ】

→淑景舎(しげいしゃ)

出典　株式会社平凡社

動植物名よみかた辞典　普及版

桐壺 (キリツボ)

植物。シソ科の多年草。アキチョウジの別称

出典　日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典　普及版」

世界大百科事典（旧版）内の桐壺の言及

【淑景舎】より

…平安宮内裏五舎(飛香，凝花，襲芳，昭陽，淑景舎)の一つ。庭に桐を植えたので桐壺（きりつぼ）とも称する。内裏の北東隅で，昭陽（しようよう）舎の北，宣耀（せんよう）殿の東に位置する。…

【前栽】より

…建物や渡殿（わたどの）(廊下)に囲まれた坪庭(皇居では壺庭)にも最適で，ここに植えたのを坪前栽という。このため後宮の殿舎が，その壺庭に植えられた前栽の木の名から，桐壺，藤壺などと呼ばれた。また前栽の風趣を競い，これにいろいろの趣向を加え，歌をそえてあらそう物合の遊び〈前栽合〉も行われた。…

※「桐壺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」