桛・綛(読み)かせ

精選版 日本国語大辞典 「桛・綛」の意味・読み・例文・類語

かせ【桛・綛】

〘名〙
① (桛) 紡(つむ)いだ糸をかけて巻き取るH形またはX形の道具。おがせ。かせぎ。かせい。
万葉(8C後)六・一〇五六「をとめらが績麻(うみを)懸くといふ鹿背(カセ)の山時し往ければ京師(みやこ)となりぬ」
② 「かせいと(桛糸)」の略。
※浮世草子・懐硯(1687)四「お蘭は木綿の桛(カセ)といふものをくりて」
③ 「かせぐるま(桛車)」の略。〔和漢三才図会(1712)〕
手拭などを掛けておくもの。
井蛙抄(1362‐64頃)六「てのごひ布のかせにて取りあげなどして」
※説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)六「まはしらとみえしには、〈略〉かせを、いれられたり」
⑥ (綛) 糸の荷造りや取り扱いの単位。一定の長さの周囲を持つ枠(わく)に、一定の長さの糸を巻く。現代では、綿糸では八四〇ヤード(七六八メートル)、毛糸では五六〇ヤード(五一二メートル)を一かせとする。
※蓮如上人仰條々連々聞書(1574)「糸にして一かせ宛売まいらせ候」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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