梅原猛(読み)ウメハラタケシ

デジタル大辞泉 「梅原猛」の意味・読み・例文・類語

うめはら‐たけし【梅原猛】

[1925~2019]哲学者宮城の生まれ。法隆寺について論じた「隠された十字架」で毎日出版文化賞を受賞。日本古代史を幅広く論じ、多く著作を残した。劇作家としても活躍し、原作を担当した「ヤマトタケル」は3世市川猿之助によるスーパー歌舞伎の第1作。他の著作に「水底の歌」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梅原猛」の意味・わかりやすい解説

梅原猛
うめはらたけし

[生]1925.3.20. 宮城,仙台
[没]2019.1.12. 京都,京都
哲学者,作家。1948年京都大学哲学科卒業。龍谷大学立命館大学で講師を務めたのち,1967年立命館大学教授,1972年京都市立芸術大学教授,1974年同大学学長。この間,1967年に『地獄思想』で日本精神の伝統について独自の史観披瀝,1972年『隠された十字架──法隆寺論』では聖徳太子怨霊説を説いて毎日出版文化賞を受賞。さらに 1973年大佛次郎賞受賞作『水底の歌──柿本人麿論』でも新たな柿本人麻呂像を世に問うた。一方,国際日本文化研究センターの設立にも尽力し,1987年初代所長に就任。その後も日本古代史の再検討にうちこみ,縄文文化やアイヌ,沖縄の文化にも強い関心を寄せて「縄魂弥才」をキーワードに日本人の精神文化を探究,1989年『日本人の「あの世」観』にまとめた。そのほか 3世市川猿之助のために『ヤマトタケル』(1986)を書き下ろすなど(→スーパー歌舞伎),多彩な創作活動を続けた。2001年に開校したものつくり大学の初代総長。1999年文化勲章受章

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「梅原猛」の意味・わかりやすい解説

梅原猛
うめはらたけし
(1925―2019)

哲学者。宮城県生まれ。1948年(昭和23)京都大学哲学科を卒業。龍谷大学、立命館大学の講師を経て、1967年立命館大学教授、1972年京都市立芸術大学教授に就任。同年『隠された十字架―法隆寺論』で毎日出版文化賞を受賞、1974年『水底の歌―柿本人麿(かきのもとのひとまろ)論』で大佛次郎(おさらぎじろう)賞を受賞した。日本古代史の再検討を通して「梅原日本学」の裾野(すその)を広げ、さらに縄文文化の領域にも踏み込んでいる。1988年『ヤマトタケル』『ギルガメシュ』、1991年(平成3)『オグリ』などの台本を書き、市川猿之助のスーパー歌舞伎(かぶき)で話題となった。京都市立芸術大学長ののち、1987年国立国際日本文化センター所長に就任。1992年文化功労者。1999年文化勲章受章。著書に『空海の人生と思想』『日本人の「あの世」観』『梅原猛著作集』『講座 文明と環境』など。1997~2003年、日本ペンクラブ会長。

[編集部 2019年1月21日]

『『梅原猛著作集』全20巻(1981~1983・集英社)』『『日本人の「あの世」観』(中公文庫)』

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知恵蔵mini 「梅原猛」の解説

梅原猛

哲学者。1925年3月20日、宮城県生まれ。48年に京都大学哲学科を卒業後、立命館大学教授や京都市立芸術大学長などを歴任し、多くの著作を発表。法隆寺建立の謎を検証した72年の『隠された十字架―法隆寺論』、万葉歌人・柿本人麻呂の生涯について論じた73年の『水底(みなそこ)の歌―柿本人麿論』などで通説を覆す大胆な仮説を展開し、「梅原古代学」を確立した。このほか、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の創作など劇作家としても活躍した。国際日本文化研究センターの設立にも尽力し、87年初代所長に就任。97年から6年にわたり日本ペンクラブの会長を務めた。99年、文化勲章を受章。2004年には護憲運動を牽引する「九条の会」の呼びかけ人となり、11年からは政府が設置した東日本大震災復興構想会議の特別顧問も務めた。19年1月12日、肺炎のため死去。享年93。

(2019-1-16)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「梅原猛」の解説

梅原猛 うめはら-たけし

1925- 昭和後期-平成時代の哲学者。
大正14年3月20日生まれ。立命館大教授,京都市立芸大教授,学長をへて,昭和62年国際日本文化研究センター初代所長。文学,歴史,宗教などに大胆な仮説を提出し,梅原古代学を確立。またアイヌと沖縄の文化にもっともつよく縄文文化がのこったとする日本文化論を展開。平成4年文化功労者,11年文化勲章。13年ものつくり大学初代総長。宮城県出身。京大卒。著作に「地獄の思想」「隠された十字架―法隆寺論」「法然」など。

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