森川許六(読み)もりかわきょりく

精選版 日本国語大辞典 「森川許六」の意味・読み・例文・類語

もりかわ‐きょりく【森川許六】

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デジタル大辞泉 「森川許六」の意味・読み・例文・類語

もりかわ‐きょろく〔もりかは‐〕【森川許六】

[1656~1715]江戸前期・中期俳人蕉門十哲の一人。彦根藩士。名は百仲ももなか。別号、五老井・菊阿仏。漢詩絵画に親しみ、北村季吟系の俳諧を学んだが、のち芭蕉師事編著風俗文選」「歴代滑稽伝」。もりかわきょりく。

もりかわ‐きょりく〔もりかは‐〕【森川許六】

もりかわきょろく(森川許六)

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朝日日本歴史人物事典 「森川許六」の解説

森川許六

没年正徳5.8.26(1715.9.23)
生年:明暦2.8.14(1656.10.1)
江戸前期の俳人。近江国(滋賀県)彦根藩士。禄高は300石。江戸勤番中の元禄5(1692)年8月に初めて松尾芭蕉に対面。そのとき数句を示したところ,芭蕉は特に「十団子も小粒になりぬ秋の風」という一句を称賛した。芭蕉がこの句を高く評価していたことは『去来抄』にも記されている。その後翌6年5月に帰郷するまでの9カ月間,公務の暇を割いてしばしば芭蕉庵を訪れて,直接指導を受けた。また芭蕉も何度かその宿舎を訪れている。画技に巧みで,芭蕉は俳諧を教えるかたわら絵の指導を受けたこともあったらしく,許六を絵の師と呼んでいる。帰郷後二度と芭蕉に会う機会はなかったが,この間に彼は蕉風俳諧の真髄を学びとったと確信したらしく,芭蕉没後は継承者を自任し,蕉風の理念を掲げて彦根俳壇の指導者として活躍した。武士の表芸である武芸にも熱心で,槍,剣,馬に巧みであったという。しかし健康には恵まれず,若いころから病気がちで,特に晩年の10年間は病床にあることが多かった。こうした状態にあっても武士としてのプライド気概を失わず,「下手ばかり死ぬる事ぞとおもひしに上手も死ねばくそ上手なり」の辞世を残して世を去った。<参考文献>鈴木重雅『俳人許六の研究』,尾形仂「森川許六」(明治書院『俳句講座』3巻)

(田中善信)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森川許六」の意味・わかりやすい解説

森川許六
もりかわきょりく

[生]明暦2(1656).彦根
[没]正徳5(1715).8.26. 彦根
江戸時代中期の俳人。本名,百仲。通称,五助。別号,五老井,蘿月堂,風狂堂,碌々庵,菊阿仏,無々居士,潜居士。近江彦根藩士。初め絵画,漢詩に親しみ,30歳前後から俳諧に執心し,尚白,嵐雪,其角に指導を受け,元禄5 (1692) 年公務で江戸に出た際,松尾芭蕉に入門し,1年間懇篤な指導を受けた。一方芭蕉に絵を教え,帰国にあたって『柴門の辞』を贈られた。芭蕉没後『韻塞 (いんふたぎ) 』 (96) 以下の撰集,俳文集『本朝文選』,俳諧史論『歴代滑稽伝』 (1715) ,漢詩の俳文化『和訓三体詩』を編み,去来と『俳諧問答』を応酬するなど多彩な活動をした。編著はほかに『編突 (へんつき) 』 (1698) ,『正風彦根体 (ぶり) 』 (1712) ,『宇陀法師』『五老井発句集』など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森川許六」の解説

森川許六 もりかわ-きょりく

1656-1715 江戸時代前期-中期の俳人。
明暦2年8月14日生まれ。近江(おうみ)(滋賀県)彦根藩士。松尾芭蕉(ばしょう)晩年の門人で,蕉門十哲のひとり。師の没後向井去来らと俳論をかわし,蕉風の理論化につとめた。画もよくし,「奥の細道行脚像」などをのこしている。正徳(しょうとく)5年8月26日死去。60歳。名は百仲(ももなか)。字(あざな)は羽官。通称は五介。別号に五老井(ごろうせい)など。編著に「風俗文選」「歴代滑稽(こっけい)伝」など。
【格言など】昨日の我に飽(あき)たり

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「森川許六」の解説

森川許六
もりかわきょりく

許六(きょりく)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「森川許六」の意味・わかりやすい解説

森川許六
もりかわきょりく

許六

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世界大百科事典(旧版)内の森川許六の言及

【宇陀法師】より

…俳諧論書。李由・許六(きよりく)編。1702年(元禄15)刊。1冊。井筒屋庄兵衛板。題号は,宇多帝遺愛の和琴の銘によるもの。内容は3部に分かれ,〈誹諧撰集法〉では撰者みずからの句を入集させることなどの編集法について,〈当流活法〉では主として切字(きれじ)について,〈巻頭幷俳諧沙汰〉では連句の心得について論ずるが,文中に触れられる蕉風俳諧論など注目すべき点が多い。前著《篇突(へんつき)》よりもいっそう整理された記述で格式を重んじている。…

【許六】より

…江戸前期の俳人。姓は森川,名は百仲。通称五介。字は羽官。幼名は金平または兵助。菊阿仏,五老井(ごろうせい)など多くの別号がある。彦根藩士。俳諧は初め季吟の風体を学び,のち常矩(つねのり)に入門したというが,その間の俳歴は明らかでない。初めは漢詩や狩野派の絵画に心をもっぱらにしていたが,1689年(元禄2)ごろから俳諧に力を入れるようになる。蕉門では尚白らの指導を受けたが,撰集を通して芭蕉の精神を探り,入門を願いつつも官務のために機を得ず,数年を経,ついに92年の出府の折に面晤(めんご)し本懐を果たした。…

※「森川許六」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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