森茉莉(読み)もりまり

精選版 日本国語大辞典 「森茉莉」の意味・読み・例文・類語

もり‐まり【森茉莉】

小説家随筆家東京生まれ。鴎外の長女。唯美的作風が特徴小説「甘い蜜の部屋」「枯葉寝床」「気違いマリア」、随筆集「父の帽子」「私の美の世界」など。明治三六~昭和六二年(一九〇三‐八七

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「森茉莉」の意味・読み・例文・類語

もり‐まり【森茉莉】

[1903~1987]小説家・随筆家。東京の生まれ。森鴎外の長女。鴎外の思い出をつづった「父の帽子」で日本エッセイストクラブ賞を受賞。他に小説「恋人たちの森」「甘いみつの部屋」、随筆「靴の音」「贅沢ぜいたく貧乏」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「森茉莉」の意味・わかりやすい解説

森茉莉【もりまり】

小説家,随筆家。東京生れ。森鴎外の長女。2度の結婚生活の後に,室生犀星に師事し文筆活動に入る。鴎外追想の随筆《父の帽子》(1957年)で第5回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。小説では《濃灰色の魚》などを経て,《新潮》に同性愛を唯美的に描いた《恋人たちの森》《枯葉の寝床》を発表。さらに華麗で官能的な《甘い蜜の部屋》で泉鏡花文学賞を受賞する。
→関連項目小堀杏奴

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森茉莉」の意味・わかりやすい解説

森茉莉
もりまり
(1903―1987)

小説家、随筆家。森鴎外(おうがい)の長女。東京生まれ。旧制仏英和高等女学校卒業。1933年(昭和8)ごろより与謝野寛(よさのひろし)夫妻主宰の『冬柏(とうはく)』などに随筆、演劇時評を書く。鴎外の思い出をつづった処女随筆集『父の帽子』(1957)で日本エッセイスト・クラブ賞を受ける。『靴の音』(1958)、『贅沢(ぜいたく)貧乏』(1963)などを続刊。また小説『恋人たちの森』(1961)、『甘い蜜(みつ)の部屋』(1965~75)など、彫心鏤骨(るこつ)の文章による華麗な幻想的世界を繰り広げた。

田中美代子

『『森茉莉・ロマンとエッセー』全6巻(1982・新潮文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森茉莉」の解説

森茉莉 もり-まり

1903-1987 昭和時代後期の小説家,随筆家。
明治36年1月7日生まれ。森鴎外(おうがい)の長女。フランス文学者山田珠樹(たまき),医学者佐藤彰との2度の結婚は破局におわった。昭和32年「父の帽子」で日本エッセイスト・クラブ賞をうけて文壇に登場。昭和62年6月6日死去。84歳。東京出身。仏英和高女卒。作品に小説「恋人たちの森」「甘い蜜(みつ)の部屋」,随筆「私の美の世界」など。
格言など】文壇にはいつもヒューマニズムの砦があり,善良な人間でなくては入れない門が締っている

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android