椋梨一雪(読み)むくなし・いっせつ

朝日日本歴史人物事典 「椋梨一雪」の解説

椋梨一雪

没年:宝永5.6頃?(1708)
生年:寛永8(1631)
江戸前期の俳人,説話(実録)作者。本貫は安芸国(広島県)椋梨村で,出生地は京都。通称を椋梨三郎兵衛という。一雪は「かずゆき」とも。別号,富士丸,隠山,牛露軒,柳風庵。松永貞徳俳諧を学び,山本西武に従って俳諧師となる。俳諧の作品よりも,『正章千句』(1648)を批判した『茶杓竹』(1663)以下の論争や,『日本武士鑑』(1696)の序文井原西鶴を批判したことで名を知られる。また,天和(1681~84)ごろ難波に移ってから著した『古今犬著聞集』『犬著聞集抜書』『続著聞集』(『新著聞集』は改編本)は,近世説話の源流をなすものとされる。

(加藤定彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「椋梨一雪」の解説

椋梨一雪 むくなし-いっせつ

1631-1709? 江戸時代前期の俳人。
寛永8年生まれ。松永貞徳,山本西武(さいむ)の門人。寛文3年「茶杓竹(ちゃしゃくだけ)」をあらわし,安原貞室を論難した。のち大坂で説話作者となり,宝永6年ごろ没したらしい。俳書に「言之羽織(ことのはおり)」,説話集に「古今犬著聞集(ここんいぬちょもんじゅう)」などがある。京都出身。通称は三郎兵衛。別号に隠山,牛露軒など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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