朝日日本歴史人物事典 「植松包美」の解説
植松包美
生年:明治5.11.1(1872)
明治から昭和初期の漆芸家。蒔絵師植松抱民の長男。東京生まれ,本名は弥太郎。蒔絵を父抱民に,図案を岸光景に学ぶ。古典蒔絵を研究して,古典の妙味を生かした伝統的で技巧に優れた作品を制作した。本阿弥光悦,尾形光琳に私淑して,意匠様式には琳派趣味のものが多いが,後年琳派風を脱して独自の様式をつくり上げた。明治25(1892)年第1次漆工競技会・褒状,33年パリ万国博・「料紙硯・手箱」出品,大正3(1914)年東京大正博・銅牌,第11・13回帝展・審査員など,漆工界の指導的な役割を果たした。東京谷中の領玄寺に葬られる。<参考文献>『近代日本の漆工芸』
(内田篤呉)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報