椽大の筆(読み)てんだいのふで

精選版 日本国語大辞典 「椽大の筆」の意味・読み・例文・類語

てんだい【椽大】 の 筆(ふで)

(「晉書‐王珣伝」の「珣夢人以大筆如一レ椽与上レ之、既覚、語人云、此当大手筆事。俄而武帝崩、哀謚議、皆珣所草」による) たるきのような大きな筆。転じて、立派な文章。堂々たる大文章。
当世書生気質批評(1886)〈高田早苗〉二「其椽大の筆能く当時と後世とを感化し得て」

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デジタル大辞泉 「椽大の筆」の意味・読み・例文・類語

てんだい‐の‐ふで【×椽大の筆】

《晋の王珣おうじゅんたるきのような大きな筆を与えられた夢を見て、大文章を書く前兆だと思っていると、はたして武帝が崩じて、筆をふるう機会が与えられたという「晋書」王珣伝の故事から》すぐれた文章の美称

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故事成語を知る辞典 「椽大の筆」の解説

椽大の筆

堂々とした立派な文章をいうことば。

[使用例] 「順天時報」の主筆ぐち氏は半三郎の失踪した翌日、その椽大の筆をふるって下の社説を公にした[芥川龍之介*馬の脚|1925]

[由来] 「晋書おうしゅん伝」に出て来る話から。四世紀、東晋王朝の時代の文人、王珣が、あるとき、だれかから「だいひつたるきのごとき(屋根の板を支える「たるき」ほどもある大きな筆)」をもらった夢を見ました。そこで、「きっと、格調高い重要な文章を書くことになるだろう」と話していたところ、はたして皇帝が亡くなって、その葬儀に関わる文章をすべて彼が書くことになった、ということです。

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