楕円関数論(読み)だえんかんすうろん(英語表記)theory of elliptic functions

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楕円関数論」の意味・わかりやすい解説

楕円関数論
だえんかんすうろん
theory of elliptic functions

楕円積分逆関数であって,三角関数の一般化ともみられる楕円関数についての研究は,まず N.アーベルと K.ヤコービによって理論化され,また C.ガウスもごく一部しか公表しなかったが,すぐれた業績を残した。その後 K.ワイエルシュトラスにいたって,複素関数論確立とともに,二重周期関数として厳密な一般理論がつくり上げられた。この理論では,変数複素数の範囲にまで広げて,一般的な理論を展開するが,特に数理物理学における特殊関数として,多くの応用がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の楕円関数論の言及

【アーベル】より

…その後オーストリア,イタリアと研究旅行を続け,26年パリに入り,ここで楕円関数に関する論文を書き,当時A.L.コーシーが審査委員をしていたアカデミー・デ・シアンスに提出したが,かえりみられなかった。27年帰国後も楕円関数に関する論文を発表,楕円積分の逆関数として楕円関数を導入し,楕円関数論を築いた。後にアーベル方程式(ガロア群がアーベル群であるような代数方程式)が代数的に解けることも証明したが,それは彼の楕円関数論の副産物と思われる。…

【整数論】より

…この理想数の考えは,J.W.R.デデキントにより簡明なイデアルの理論としてまとめられ,その後の代数体の整数論の発展に重要な役割を果たした。クンマーの弟子であったクロネッカーは代数体の整数論に寄与するとともに,楕円関数論と整数論の関連を研究し,これについて〈青春の夢〉と呼ばれる予想を提出した。これは類体論の完成とともに解決されるが,これを一般化した問題は,20世紀に入ってもヘッケE.Hecke(1887‐1947)らによって研究され,重要な研究対象の一つになっている。…

※「楕円関数論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android