楝・樗(読み)おうち

精選版 日本国語大辞典 「楝・樗」の意味・読み・例文・類語

おうち あふち【楝・樗】

〘名〙
① 植物「せんだん(栴檀)③」の古名。センダン科の落葉高木。初夏淡紫色の花をつける。
▼おうちの花《季・夏》
▼おうちの実《季・秋》
万葉(8C後)五・七九八「妹が見し阿布知(アフチ)の花は散りぬべしわが泣く涙(なみだ)いまだ干なくに」
② 襲(かさね)の色目の名。表は薄色、裏は青(物具装束鈔(1412頃か))。一説に表は紫、裏は薄色(桃花蘂葉(1480))。
源氏(1001‐14頃)蛍「下仕へはあふちの裾濃(すそご)の裳、なでしこのわか葉の色したる唐ぎぬ」
③ 染色名の一つ。①の花に似た薄紫色。ききょう色という説もある。
※深川本狭衣物語(1069‐77頃か)三「あふち・村濃に、やがて染め分けつつぞありける」
④ 中古、獄の門に植えて、咎人(とがにん)の首をさらしかけた木。①を用いたからという。
平治(1220頃か)下「検非違使八人ゆきむかって、頸をうけとり、〈略〉左の獄門の樗(あふち)の木にぞかけたりける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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