構造調整[日本経済](読み)こうぞうちょうせい[にほんけいざい](英語表記)structural adjustment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「構造調整[日本経済]」の意味・わかりやすい解説

構造調整[日本経済]
こうぞうちょうせい[にほんけいざい]
structural adjustment

対外不均衡を是正するため国の経済構造を国際協調型のものに変えていこうという考え方。 1986年4月の「国際協調のための経済構造調整研究会」の答申 (いわゆる前川レポート) で提示された。「日本の大幅な経常収支不均衡の継続は,危機的な状況にある」と位置づけたうえで,「経常収支の大幅黒字は,日本経済の輸出指向型経済構造に根ざすものであり,国際協調型経済構造への変革をはかることが急務である」としている。これに基づいて政府は,同年5月「経済構造調整推進要項」を決め,内需主導型の成長,輸出入・産業構造の抜本的転換,金融資本市場の自由化などの対策を決めた。その後もこうした構造調整の考え方は,政府の経済計画「世界とともに生きる日本」 (1988) にも取入れられ,政策の大きな柱となっている。さらに 89年には日米構造協議 SIIが開始され,90年の合意で日本は,独占禁止法改正,貯蓄・投資バランス,土地政策流通政策などで具体的な構造調整を進めることとなった。その後 93年にアメリカのクリントン大統領は,日本の市場開放の実効性をはかる数値目標の提示を要求するなど,日米貿易摩擦とのからみで日本の構造調整を強く求めてきた。

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