様態(読み)ようたい(英語表記)mode 英語

精選版 日本国語大辞典 「様態」の意味・読み・例文・類語

よう‐たい ヤウ‥【様態】

〘名〙
① 物の在り方行動様子
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉五六「須くバーグレーブ侯の様態(ヤウタイ)を為さざるべからず」
文法で、そのような様子が見られるの意を表わす語法
※中等文法(1943‐44)〈文部省〉一「さもくやしさうである。いかにも丈夫さうだった。右のやうに、この『さうだ』は、様態即ちさういふ様子だといふ意味を表す」
③ (modus訳語) 哲学で、物の本性本質に対して、ある時間的、空間的な条件の下での物の偶然的な在り方をいう。

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デジタル大辞泉 「様態」の意味・読み・例文・類語

よう‐たい〔ヤウ‐〕【様態】

物のありかたや行為のありさま。
文法で、そのようなようすが見られるということを表す言い方。動詞などに助動詞そうだ」を付けて言い表す。
デカルトスピノザ以来、事物の本質にかかわる属性区別された、事物の偶然的な属性。様。様状。状態偶有性
[類語]状態現況近況近状現状現勢現段階局面模様様子様相状況実況情勢成り行き動静態様具合ぐあい概況形勢容体気配調子有りさま有りよう性状事態雲行き風向きシチュエーション

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「様態」の意味・わかりやすい解説

様態
ようたい
mode 英語
mode フランス語

事物の在り方についての諸規定を意味する。ただしこのような諸規定のうちでもその事物にとって不可欠な基本的性質(本質)が属性とよばれるのに対し、様態はその事物にとって付帯的、偶有的であるような諸性質、諸規定を意味する。

 ところでこの属性(本質)と様態(偶有性)との区別はアリストテレスにまでさかのぼるが、中世近世の哲学でもさまざまに議論されている。たとえばデカルトでは精神と物体実体とされ、思惟(しい)と延長がおのおのの属性とみなされるとともに、情意、判断、欲求が精神の様態として、また位置、形、運動が物体の様態として考えられている。またスピノザでは神が唯一の実体であり、思惟と延長がその属性であり、それらの変容したもの、すなわち個々の人の心や個々の物体が様態とされている。さらにロックでは、様態は印象や単純観念から合成された複合観念の一種とされている。

[清水義夫]

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