標野(読み)シメノ

デジタル大辞泉 「標野」の意味・読み・例文・類語

しめ‐の【標野】

皇室貴人占有し、一般の者の立ち入りを禁じた野。禁野きんや
あかねさす紫野行き―行き野守は見ずや君が袖振る」〈・二〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「標野」の意味・読み・例文・類語

しめ‐の【標野】

〘名〙 (「しめ」は占有のしるしに縄などで結んでおくこと。また、そのしるし)
① しめをはって出入りを禁じた野。令制以前において、王族豪族などの料地で、一般の立入りを禁じた園。禁野。御料地。
万葉(8C後)一・二〇「茜草(あかね)さす紫野行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る」
② その家などが持っている土地。所有地。
※俳諧・父の終焉日記(1801)五月二八日「無下に里出せんも亡父の心にそぶかかと、しめ野分るを談じあひけるに」
[補注]①の挙例の万葉歌に関して、「奥義抄‐中」によると、紫野は山城の、標野は大和の地名とする解釈があったことが知られる。「五代集歌枕‐上」にも大和の名所として「標野」が挙げられている。また、近江の地名とする説もある。

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デジタル大辞泉プラス 「標野」の解説

標野(しめの)

滋賀県大津市、叶匠寿庵が製造・販売する銘菓。自家梅蔵で寝かせた城州白梅を使用した梅エキスのゼリー

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世界大百科事典(旧版)内の標野の言及

【禁野】より

…ただし宗教的聖地である山陵・墓山・寺社の聖域や,経済的対象地である墾田予定地や狩猟地・牧・杣(そま)・御厨(みくりや)などは,この原則からはずされる場合もあった。例えば狩猟・薬猟地は古くから一定の季節に標(しめ)を張り,囲い込んで標野(しめの)とし,他の民業を妨げない範囲で猟物や薬草を採獲する慣行があった。禁野は7世紀後半以降〈公私共利〉の原則を法的に確立していく際に,この標野を皇室猟野としたものといえる。…

【結界】より

…したがってシメのある場所に外の者が無断で立ち入ることはできない。標野(しめの)は禁野であり結界地なのである。〈標結(しめゆ)う〉は,〈結界する〉ことを意味するが,これは〈印〉を結ぶ意であって,かならずしも界を結ぶ意ではない。…

※「標野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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