権者（読み）ゴンジャ

デジタル大辞泉

ごん‐じゃ【権者】

仏・菩薩ぼさつが衆生を救うために仮の姿で現れたもの。権化ごんげ。ごんざ。⇔実者。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ごん‐じゃ【権者】

[1] 〘名〙 仏語。仏菩薩が衆生を救うために、仮に姿を現わしたもの。また、それと思われるほど学芸や徳行にすぐれた人。権化(ごんげ)。権現。化身(けしん)。ごんざ。⇔実者。

※本朝文粋（1060頃）一一・讚法華経二十八品和歌序〈藤原有国〉「当朝之化人。異俗之権者」

※太平記（１４Ｃ後）二四「両方の不思議竒特(きどく)、皆権者(ゴンジャ)とは云乍ら類(たぐひ)少き事共也」 〔摩訶止観‐一〇・下〕

[2] 弘法大師（空海）をさしていう。

※仮名文字遣（1363頃）序「行阿思案するに権者の製作として真名の極草の字を伊呂波に縮なして」

けん‐じゃ【権者】

〘名〙

① 権力を有する人。

※信心録（ヒイデスの導師）（1592）二「トキ ニ ヨッテワ qenxa(ケンシャ)、ケンモン ノ ビト モ ヲヲク ナラレシ ゾ」

② 勇気のある人。

※多聞院日記‐天正六年（1578）二月一三日「筒順より若衆に為_レ令_レ見、権者を塔へ被_レ上了」

③ ⇒ごんじゃ（権者）

ごん‐ざ【権者】

〘名〙 ＝ごんじゃ（権者）(一)

出典　精選版 日本国語大辞典

世界大百科事典（旧版）内の権者の言及

【権化】より

…またチベットのラマ教では，ダライ･ラマは観音の，パンチェン･ラマは阿弥陀仏の転身とされる。日本では権化，権現，権者（ごんざ），応現，化現，示現はほぼ同じ意味で用いられる。民族信仰の諸神格と仏教の信仰対象とを結びつけ調和させようとする本地垂迹（ほんじすいじやく）説でしばしば用いられ，たとえば天照大神はその本地とされる大日如来の垂迹した権化とされているのである。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」