横溝正史(読み)よこみぞせいし

精選版 日本国語大辞典 「横溝正史」の意味・読み・例文・類語

よこみぞ‐せいし【横溝正史】

推理小説家。兵庫県生まれ。大阪薬学専門学校卒。日本風土とロマン性とを結びつけた作風特徴作品本陣殺人事件」「八つ墓村」「犬神家の一族」「人形佐七捕物帳」など。明治三五~昭和五六年(一九〇二‐八一

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デジタル大辞泉 「横溝正史」の意味・読み・例文・類語

よこみぞ‐せいし【横溝正史】

[1902~1981]小説家兵庫の生まれ。本名正史まさし。日本の風土に怪奇性を融合させた本格推理小説発表。作「本陣殺人事件」「八つ墓村」「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄てまりうた」「人形佐七捕物帳」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「横溝正史」の意味・わかりやすい解説

横溝正史
よこみぞせいし
(1902―1981)

推理作家。神戸市生まれ。大阪薬学専門学校卒業後、博文館入社。1928年(昭和3)森下雨村(うそん)の跡を継いで『新青年』の編集長となり、海外推理小説の名作を紹介するかたわら、推理小説を執筆、『鬼火』『蔵の中』『真珠郎』などを発表した。いずれも耽美(たんび)的で、草双紙趣味にあふれた、論理的推理小説とは異質のものであった。第二次世界大戦後、46年(昭和21)から47年にかけて『本陣殺人事件』と『蝶々(ちょうちょう)殺人事件』を発表。これらは戦前とは作風を一変する本格的トリック小説で、戦後の本格長編リバイバルの原動力となった。その作風はディクスン・カーに触発されたもので怪奇性と論理的トリックを日本的風土のなかで融合させている。その後も『獄門島』『悪魔の手毬唄(てまりうた)』などの力作を発表し、名探偵金田一(きんだいち)耕助は乱歩の明智小五郎(あけちこごろう)と並ぶポピュラーな存在となった。

厚木 淳]

『『獄門島』『悪魔の手毬唄』(角川文庫)』

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百科事典マイペディア 「横溝正史」の意味・わかりやすい解説

横溝正史【よこみぞせいし】

小説家。兵庫県生れ。大阪薬学専門学校卒。《新青年》に投稿した《恐ろしき四月馬鹿》が入選江戸川乱歩の勧めで上京博文館に入社し,《新青年》《探偵倶楽部》などの編集に携わる。かたわら創作,翻訳活動を行うが,やがて作家活動に専念。戦前の代表作に耽美的な《鬼火》《蔵の中》《真珠郎(しんじゅろう)》などがある。戦中には《人形佐七捕物帳》が好評を博す。戦後,謎解きを中核にした《本陣殺人事件》《獄門島》《犬神家の一族》《悪魔の手毬唄》など名探偵金田一耕助が活躍する一連の作品で人気を集める。金田一ものの主要作は映画化,テレビ化されている。
→関連項目推理小説宝石

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「横溝正史」の意味・わかりやすい解説

横溝正史
よこみぞせいし

[生]1902.5.24. 兵庫,神戸
[没]1981.12.28. 東京,新宿
小説家。本名横溝正史(よこみぞまさし)。1924年大阪薬学専門学校(→大阪大学)卒業。1926年博文館(→博文館新社)に入社,雑誌『新青年』などの編集長を務めた。退社後『面影双紙』(1933),『鬼火』(1935),『真珠郎(しんじゅろう)』(1936~37)などロマン的色彩の濃い推理小説を発表,江戸川乱歩と並び称された。時代小説「人形佐七捕物帳」シリーズ執筆のかたわら本格推理小説を目指し,第2次世界大戦後,名探偵金田一耕助を主人公とする『本陣殺人事件』(1946),『八つ墓村』(1949~50),『悪魔が来りて笛を吹く』(1951~53),『悪魔の手毬唄』(1957~59)などを発表。日本の風土にひそむ土着的なものをプロットにからませ,多くの読者を集めた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「横溝正史」の解説

横溝正史 よこみぞ-せいし

1902-1981 昭和時代の小説家。
明治35年5月25日生まれ。博文館にはいり「新青年」編集長をつとめ,昭和7年から文筆に専念。22年の「本陣殺人事件」を手はじめに,「獄門島」「悪魔の手毬唄(てまりうた)」など,日本的風土を背景に名探偵金田一耕助が活躍する本格推理小説をつぎつぎに発表した。時代小説「人形佐七捕物帳」も知られる。昭和56年12月28日死去。79歳。兵庫県出身。大阪薬専(現阪大)卒。

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世界大百科事典(旧版)内の横溝正史の言及

【推理小説】より


[歴史――日本]
 明治時代の黒岩涙香などの翻訳・翻案によってイギリス,アメリカ,フランスの探偵小説(と当時は呼ばれていた)が日本に紹介されたが,創作の優れた作品といえば,大正期の谷崎潤一郎《途上》(1920),芥川竜之介《藪の中》(1922),佐藤春夫《女誡扇綺譚》(1925)などを待たねばならない。これらの作家はもちろん推理小説的作品だけを書いたわけではないが,後に日本最初の推理小説作家と呼ばれた江戸川乱歩,横溝正史(1902‐81)らは,上記の作品によって大きな刺激を受け,とくに怪奇,幻想の特色を受け継いだのであった。 1920年1月に創刊された雑誌《新青年》は,編集長の森下雨村の好みもあって,はじめから海外探偵小説の翻訳・紹介をその特色としたが,同時に新人の創作を募集した。…

※「横溝正史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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