横道(読み)よこみち

精選版 日本国語大辞典 「横道」の意味・読み・例文・類語

よこ‐みち【横道】

〘名〙
① 横に通じる道。左右に通じている道筋
※出観集(1170‐75頃)秋「行く末は霧の籬に囲はれて畔のよこ道稲葉露けし」
本道から分かれている道。本道以外の道路。わきみち。えだみち。間道。〔羅葡日辞書(1595)〕
③ 道を横切ること。
※長宗我部氏掟書(1596)七四条「横道堅停止之事、押而通者於之者、過銭可壱貫文事」
④ (━する) 人間としての正しい道からはずれること。また、正道からはずれたものごと。邪道。おうどう。
今昔(1120頃か)二七「直(ただし)く行可き道を、此る事を云ひ出てより横道(よこみち)するに、実・虚言も知らむ」
⑤ 物事の本筋からはずれたこと。また、その事柄。末節。えだは。
※厲人厲語(1910)〈杉村楚人冠〉時子「話頭(はなし)は飛でもない横道(ヨコミチ)に入った」
⑥ 隠している物事。特に、妻や妾に情人のあること。
人情本・柳之横櫛(1853頃)五「何もお前の身に暗へことがあるの横道(ヨコミチ)があるから其処を付こんで貰へに来たのといふ訳ぢゃアねへが」

おう‐どう ワウダウ【横道】

〘名〙
① 本道からそれた道。わき道。よこみち。
義経記(室町中か)七「わうだうなれども、いざや当国に聞えたる平泉寺を拝まん」
② (形動) (①から転じて) 人間としての正しい道からはずれたこと。人道に背いたこと。また、そのさま。邪道。
※光悦本謡曲・鍾馗(1470頃)「鬼神に横道なし」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ (━する) 不正と知りながら行なうこと。よこみち。
浄瑠璃大経師昔暦(1715)上「今日の内一貫目急度(きっと)調へ進じませう。私が少しの間横道(ワウダウ)いたせば事が済む」
④ 江戸時代、大型和船の舵取りおよび保持用として舵柄にとりつけた操作用の麻綱。舵柄を中に左右の垣立の間に張り渡すところからの名。通称どんすといい、手安、とうすとも。
※今西氏家舶縄墨私記(1813)坤「此所居てとる也。〈略〉此綱を横道と云」

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デジタル大辞泉 「横道」の意味・読み・例文・類語

おう‐どう〔ワウダウ〕【横道】

[名・形動]
人間としての正しい道に外れていること。また、そのさま。よこしま。邪道。
「この思いもよらない出来事には、いくら―な良秀でも、ぎょっと致したのでございましょう」〈芥川地獄変
本道からそれた道。よこみち。
「―なれども…平泉寺を拝まん」〈義経記・七〉
不正と知りながら行うこと。
「私が少しの間―致せば事が済む」〈浄・大経師
[類語]非道無道無法不義非常識とんでもない途方もない途轍とてつもない突拍子もないとんだもってのほか法外大それた論外けしからん話にならない滅相もない気が知れない不始末不埒ふらち不逞ふてい罪作り邪道言語道断不心得沙汰の限り沙汰のほか不当不所存あるまじきあろうことか一筋縄ではいかない目に余る身の程知らず不届き不届き至極

よこ‐みち【横道】

本道から横に入る道。また、本道から分かれた道。わき道。
本筋からはずれた筋道。横筋。「話が横道にそれる」
正しい道からはずれること。また、道理にはずれた事柄。邪道。
「かかる事を言ひ出でてより―するに」〈今昔・二七・一三〉
[類語]岐路分かれ道二筋道枝道脇道間道裏街道裏通り裏道抜け道近道

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