デジタル大辞泉
「横」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
よこ【横】
〘名〙
① 上下の方向に対して、水平の方向。前後の方向に対して、左右の方向。また、その長さ。
※
書紀(720)安閑元年閏一二月(寛文版訓)「長く駕
(ゆ)き、遠く撫で、都の外に横
(ヨコ)に逸
(こえい)で」
※
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「眼を閉ぢ頭顱
(かしら)を抱へて
其処へ横に倒れた儘」
② 南北の方向に対して、東西の方向。
※
万葉(8C後)一・五二「大和の 青香具山は 日の経
(たて)の 大御門に
春山と しみさび立てり
畝傍の この瑞
(みづ)山は 日の緯
(よこ)の 大御門に 瑞山と 山さびいます」
③ 立体の正面あるいは背面に対して、側面。特に、
直方体の側面。
※歌舞伎・勝相撲浮名花触(1810)
発端「東より西へ
柳橋の
欄干、横
(ヨコ)を見たる道具」
④ ある物を中心としてその左あるいは右の方。かたわら。そば。わき。ほとり。付近。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「長もち人足横(ヨコ)にたってうたひ、馬士うしろをむきて、ひよぐりながら行道すがら」
⑤
平面図形、特に四辺形などの、水平に引いた線、および長さ。
⑥ 無関係の立場。当事者以外の立場。局外。はた。
※ゆく年(1928‐29)〈
久保田万太郎〉三「横から出て来て是が非でもその女を
女房にする」
⑦ 正しくないこと。不正。よこしま。また、道理に合わないこと。
無理非道。
※浮世草子・好色一代女(1686)三「年中偽
(うそ)と横
(ヨコ)と欲とを
元手にして世をわたり」
※醍醐寺新要録(1620)「貞永元年六月廿五日宣下、〈略〉今忽以二新儀一、横被レ補了」
⑨ 織物のよこいと。〔倭語類解(17C後‐18C初)〕
⑩ 遊女が客の目を盗んで他の客や情夫と密会すること。→
横に行く②。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)京「大臣のふびんがらるる
女郎を、透を見て横
(ヨコ)をいたしたがる」
⑪ 横臥すること。横に寝ること。
※俳諧・冬の日(1685)「霧にふね引人はちんばか〈
野水〉
たそがれを横にながむる月ほ
そし〈
杜国〉」
⑫ 階級・身分などの上下関係に対して、同列のもの、地位・水準などが同じであるものどうしの関係。
※「
山びこ学校」訪問記(1951)〈
臼井吉見〉中野好夫氏に「このように横のつながりを強くし、広くして進んでいるのですから」
おう ワウ【横】
〘名〙
※花鏡(1424)奥段「
老声は、生声尽きて、あるひはわう、あるひは〔主〕、又は相音
(あひおん)などの残声にて、曲よければ、面白き感聞
(かんもん)あり」
② 仏語。真宗の二双四重の教判で説く、豎
(じゅ)の対語で、他力浄土門をいう。→
横超(おうちょう)。
※教行信証(1224)三「就二菩提心一有二二種一、一者堅、二者横」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報