(読み)かば

精選版 日本国語大辞典 「樺」の意味・読み・例文・類語

かば【樺】

〘名〙 (「かにわ(樺)」の変化した語)
① 元来は、樹皮をさしていったのであろうが、転じて植物名ともなったらしく、ウワミズザクラウダイカンバである可能性が強い。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
カバノキ科カバノキ属の植物を総称していう。ダケカンバシラカバ、ウダイカンバなどで、古くは、とくにウダイカンバをさしていった。かばのき。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
③ 経木(きょうぎ)の曲物(まげもの)の綴じつけや、弓の鳥打(とりうち)の上下、矢羽の上下などに巻く檀(まゆみ)や桜の白皮(あまかわ)。檀の皮を真樺(まかば)といい、桜の皮を鶉目樺(うずらのめかば)という。
※弁乳母集(11C後か)「まとに見る人しなければ梓弓かは離れたるここちこそすれ」
儀仗の弓の名所。上の鳥打をはさんで二か所、下に一か所、鳥子(とりのこ)または檀紙を巻いて古様の樺巻(かばまき)名残を示しているもの。
⑤ 色の名。樺色(かばいろ)。ただし、これは「かば(蒲)②」の誤用
読本・椿説弓張月(1807‐11)後「染色は黄と椛(カバ)と、黒と、此三色多し。〈略〉椛(カバ)秋冬の内、またみと称る木の皮を煎じて、染る事又三十遍ばかりにして、色を出す事前のごとし」

かんば【樺】

〘名〙 =かば(樺)
▼かんばの花《季・春》 〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

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デジタル大辞泉 「樺」の意味・読み・例文・類語

かば【×樺】

カバノキおよび近縁種の総称。特に、シラカバをさす。 花=春》
かば2」に同じ。
[類語]樺の木白樺岳樺だけかんば

かにわ〔かには〕【×樺/桜皮】

シラカバ古名か。この木の皮を刀や弓の柄に巻いたり、舟や器物に巻いたという。
「―巻き作れる舟に」〈・九四二〉

かんば【×樺】

《「かには」の音変化》「かば(樺)」に同じ。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「樺」の解説

樺 (カバ)

植物。カバノキ科カバノキ属の落葉高木の総称。カバノキの別称

樺 (カバ・カンバ)

植物。カバノキ科の落葉高木,園芸植物シラカンバの別称

樺 (カニワ)

植物。上溝桜・鵜松明樺の古名

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