檀那・旦那(読み)だんな

精選版 日本国語大辞典 「檀那・旦那」の意味・読み・例文・類語

だんな【檀那・旦那】

〘名〙 (dāna の音訳)
① 仏語。六波羅蜜の一つ。施し。布施
※性霊集‐八(1079)為弟子僧真体設亡妹七々斉并奉入伝燈田願文「夫仏有五智。因業各異。所謂、阿哩也囉多曩納婆嚩多他掲哆。即是檀那之報徳也」 〔法苑珠林‐一一〕
② (dāna pati の音訳、「檀那波底」の略) 檀越(だんおつ)のこと。施主。檀家。
※大日本国法華経験記(1040‐44)下「欲供養時、雷電霹靂、雷破壊塔。各々分散摧折而去。檀那懐歎悲泣無限」 〔祖庭事苑‐五・懐禅師前録〕
中世社寺の参詣宿泊者をいう。先達神官、僧が引導し、参拝の行路、宿泊施設などの案内をした。また、地方の武家その他の同名字の人々が大勢で一定の先達・御師(おし)を定めて代々参拝宿泊するようになると、この契約関係は一種の職権・財産となって売買譲与の対象となり、この職権をさしていうこともある。引檀那。道者。檀那職。
※米良文書‐弘安一〇年(1287)一〇月二九日・旦那譲状「ながくゆづりわたすたんなの事」
家人(けにん)使用人などが、その主人を敬っていう語。
※虎寛本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初)「某は、長刀遣ひを檀那に持て居るに依て」
商人などが自分の店の客を、また役者・芸人などが自分のひいき筋を敬っていう語。一般にへりくだって呼びかけるときにもいう。
※四座役者目録(1646‐53)上「京の太夫より、我れ、声増したるほどに、旦那多ふかろうと、云たる人也」
⑥ 妻が、自分の夫を敬っていう語。また、他家の主人を敬っていうのにも用いる。現代では敬意を伴わないで用いられる。
※浮世草子・好色一代男(1682)五「後の世を願ふ仏の道も、旦那(ダンナ)殿と一所の法花になり」
⑦ 妾や芸者などが、自分のせわをしてくれる男を敬っていう語。また、妾や芸者のせわをしている男の称。
※雑俳・歌羅衣(1834‐44)七「旦那来る・日と附込んで小間物屋
婢女などがその仕える奥女中を敬って用いる語。
※雑俳・末摘花(1776‐1801)四「旦那はせいろうお次へははりかた」
※神宮文庫本発心集(1216頃か)五「みづのみと云ふ所にて檀那の僧都覚運と云ふ人に行合ひて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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