次郎物語(読み)じろうものがたり

精選版 日本国語大辞典 「次郎物語」の意味・読み・例文・類語

じろうものがたり ジラウものがたり【次郎物語】

小説下村湖人作。昭和一一~二九年(一九三六‐五四成立未完。兄と弟に対する祖母偏愛の中で、極端にゆがんだ幼少年期を送った本田次郎成長五部に分けて描く。作者の自伝的小説で、特に少年時代心理描写にすぐれる。

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デジタル大辞泉 「次郎物語」の意味・読み・例文・類語

じろうものがたり〔ジラウものがたり〕【次郎物語】

下村湖人の自伝的長編小説。5部作。幼少期里子に出された少年、次郎の成長を描く。第1部は大日本青年団機関紙青年」に昭和11年(1936)より連載単行本は昭和16年(1941)刊行以後、第2部から第5部までが順次刊行された。第6部以降についても構想があったが、著者の死により未完に終わる。映像化作品も多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「次郎物語」の意味・わかりやすい解説

次郎物語
じろうものがたり

下村湖人(しもむらこじん)の長編小説。全5部。作者の自伝的要素を含む作品で、1936年(昭和11)大日本連合青年団の機関誌『青年』に第1部を連載、41年に出版されると圧倒的好評をもって迎えられ、まもなく映画化されて反響をよんだため続編を執筆、第2部は42年、第3部は44年、第4部は49年、第5部は53~54年に書かれたが、作者の死により未完となった。次郎という一少年を主人公に、彼が里子に出されて、母性愛に飢え、反抗心を抱く話を第1部として、次郎の精神の成長がたどられている。本来は児童文学として書かれたものではないが、山本有三(ゆうぞう)の『路傍の石』とともに、少年向き教養小説の双璧(そうへき)とされている。

[上笙一郎]

『『次郎物語』(旺文社文庫・角川文庫・春陽堂少年少女文庫・新潮文庫)』『明石晴代著『「次郎物語」に賭けた父・下村湖人』(1970・読売新聞社)』

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百科事典マイペディア 「次郎物語」の意味・わかりやすい解説

次郎物語【じろうものがたり】

教育家下村湖人作の小説。1941年―1954年に第5部まで刊行され,第7部まで続く予定だったが,著者の死で中絶した。里子に出され,また継母を迎えたりした少年次郎がやがて中学に入り,社会に目を開いていく,その精神の遍歴を描いた自伝的教養小説

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