歌姫越(読み)うたひめごえ

日本歴史地名大系 「歌姫越」の解説

歌姫越
うたひめごえ

古代、大和国から山城国へ通ずる主要道路。平城宮内裏付近から北方歌姫を経て奈良丘陵の南北性の小谷を通り山城へ向かう正道で、当時の奈良坂越はこれであった。平安時代になり、しだいに東方の新奈良坂越(般若寺はんにやじ越)が多く用いられるとともに、春日社への参詣道にすぎなくなったと考えられる。永祚元年(九八九)三月の一条天皇の春日行幸(小右記)、寛弘四年(一〇〇七)二月の藤原道長の春日詣(御堂関白記)、また春日祭使(江家次第)など、いずれもここを通ったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の歌姫越の言及

【奈良坂】より

…またその一帯の称。ただし,ひとくちに奈良坂越えとはいっても,古くには,大和古道の〈下ッ道(しもつみち)〉が北へ延びた〈歌姫越え(うたひめごえ)〉の道と,〈中ッ道〉が北へ延びたもう一つの道(JR関西本線沿い)とがあった。また,平城京遷都後は,しばらく〈歌姫越え〉のルートがすたれ,〈中ッ道〉のルートと,長らく〈東路〉と呼ばれた現在の奈良坂(旧国道24号線沿い)とが用いられるようになった。…

【奈良山】より

…奈良盆地北部と京都府相楽郡木津町との境界を東西に走る標高100m前後の低丘陵。大和と山城を結ぶ古くからの交通路として,東部の奈良坂越,西部の歌姫越が利用された。この地域には多数の古墳があり,古くは和珥(爾)(わに)氏との関係が深く,皇族や有力貴族の陵墓も存在する。…

※「歌姫越」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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