歌川国政(読み)うたがわ・くにまさ

朝日日本歴史人物事典 「歌川国政」の解説

歌川国政

没年:文化7.12.1(1810.12.26)
生年:安永2(1773)
江戸後期の浮世絵師会津に生まれ,早い時期に江戸に出た。俗称甚助。一寿斎と号した。当初紺屋で働いたが芝居好きで役者の似顔を描くのを得意とし,やがて初代歌川豊国に入門。寛政8(1796)年ごろから作画を開始した。錦絵では役者似顔絵が主であるが,制作点数の少ない美人画にも佳品がある。寛政11年の絵本『俳優楽室通』では師と合作するなど期待された存在だったが,なぜか文化2,3(1805,06)年ごろに画業を廃した。その後は役者似顔の面を製造販売したという。国政の役者似顔絵は,色面と描線の単純化を推し進め,戯画的な傾向を強めているのが特色である。

(大久保純一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歌川国政」の意味・わかりやすい解説

歌川国政
うたがわくにまさ

[生]安永2(1773).会津
[没]文化7(1810).11.30. 江戸
江戸時代後期の浮世絵師。俗称佐藤甚助。号は一寿斎。初め紺屋職人であったと伝えられる。1世歌川豊国に認められ門人となる。役者似顔絵,特に大首絵が得意でやや誇張した表現がみられる。主要作品『市川鰕蔵 (えびぞう) の暫 (しばらく) 』『岩井喜代太郎の千代』。

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