正体(読み)しょうたい

精選版 日本国語大辞典 「正体」の意味・読み・例文・類語

しょう‐たい シャウ‥【正体】

〘名〙 (古くは「しょうだい」)
① そのものの実際の姿。変化(へんげ)する前の姿。また、ものごとの本質精髄本体実体
※勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章「第二正説。正者経之正体」
※虎寛本狂言・狐塚(室町末‐近世初)「両人していぶいて正体をあらはし」
※花伝髄脳記(1584頃)灌頂之巻「脇は何を正躰にするそ。シテを正躰にする也。シテは何をするそ。能の本来の、正躰の間の有所の、あたる所をする也」
神体。聖体。多く、上に「御」をつけていう。
※左経記‐長元四年(1031)一〇月一七日「安置七宝筥於宝殿中、是称御正体
日葡辞書(1603‐04)「Xǒdai(シャウダイ)
正気。たしかな精神。→正体がない
※俳諧・犬子集(1633)二「正体もならもろはくのやよひ哉〈親重〉」
④ 詩文・歌・連俳などの、あるべき姿。
毎月抄(1219)「無正体歌読みいだして、毀人の難をだにおひぬれば」

せい‐たい【正体】

〘名〙
① 正しい体。正しい姿。本体。
※中華若木詩抄(1520頃)上「変体は正体にをとれり」 〔陸機‐羽扇賦〕
② (「儀礼喪服」の「正体於上」による) 血筋の正しいもの。長子、または太子などをいう。
※寛永版曾我物語(南北朝頃)一「皇氏を出でて初めて源の姓を給はり、せいたいを去りて人臣に列り給ひて後」
③ 印刷字体で、斜体(斜めの字体)・長体(縦長の字体)・平体(横長の字体)などに対して、通常の字体をいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「正体」の意味・読み・例文・類語

しょう‐たい〔シヤウ‐〕【正体】

《古くは「しょうだい」》
隠されているそのもの本来の姿。本体。「正体を現す」「正体不明の怪人物」
正常に意識が働いているときのようす。正気。「正体もなく眠る」
(「御正体」の形で)神仏の本体。神体。
「御―をば取りて本宮にゐてたてまつりて」〈今昔三一・一〉
[類語](1実像実際/(2意識正気人心地人心

せい‐たい【正体】

正しい形体。正しい姿。
写植文字で基準となる字体。字づらは通常の書体では正方形。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「正体」の読み・字形・画数・意味

【正体】せいたい

本体。

字通「正」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android