正念(読み)ショウネン

デジタル大辞泉 「正念」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ねん〔シヤウ‐〕【正念】

仏語八正道の一。物事本質をあるがままに心にとどめ、常に真理を求める心を忘れないこと。正しい思念。
極楽往生を信じて疑わないこと。一心に念仏すること。
雑念を去った安らかな心。
十方の仏を礼し奉り―にして慈氏菩薩を念じ奉り給ふ間」〈今昔・六〉
本心。正気。
「其の後狂気、―を失ふが如しと云々」〈明月記

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精選版 日本国語大辞典 「正念」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ねん シャウ‥【正念】

[1] 〘名〙
① 仏語。八正道の一つ。よこしまな心を離れ、真理を求める心をつねに忘れないこと。
※米沢本沙石集(1283)九「正念(シャウネン)分明なる時、境にひかれ妄心やまず」 〔大品般若経‐一〕
② 心の乱れを去った安らかな心。雑念を払った心の安定した状態。
※今昔(1120頃か)六「十方の仏を礼し奉り、正念にして慈氏菩薩を念じ奉り給ふ間」
③ 一心に仏を念ずること。またはその乱れることのない信心
※観智院本三宝絵(984)下「命まさに終なむとす。かねのこゑを聞て、正念をまさむ」
平常の心。正常で乱れのないしっかりした心。正気(しょうき)。本心。
※明月記‐建暦元年(1211)一一月二日「其後狂気如正念云々、驚奇
[2] 中国、南宋代の臨済宗の僧。大休正念。大休派の祖。諡(おくりな)は仏源禅師。咸淳五年(一二六九)来日して蘭渓道隆に従い、北条時宗に求められて禅興寺・円覚寺などに歴住した。浄智寺開山。建保三~正応二年(一二一五‐一二八九

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正念」の意味・わかりやすい解説

正念
しょうねん

仏教では,人生を苦とみて,苦の止滅した絶対の安静の境地理想とするが,それを達成するための8種類の修道法 (→八正道 ) の第7。正しく念想すること。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「正念」の解説

正念 しょうねん

大休正念(だいきゅう-しょうねん)

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世界大百科事典(旧版)内の正念の言及

【仏教】より

…(4)道諦(どうたい) この,苦の滅を達成するために実践すべき正しい道で,8項ある(八正道(はつしようどう))。すなわち,(a)正しい物の見方(正見),(b)正しい心のもち方(正思),(c)正しい言葉遣い(正語),(d)正しい行動――不殺生,不偸盗などの戒を守る(正業),(e)正しい生活(正命),(f)正しい努力精進(正精進),(g)正しく教えを憶念する(正念),(h)正しい禅定の修習(正定)。 以上の四諦は苦因→苦,道の実践による苦因の滅→苦の滅という2種の互いに相反する方向の因果関係を含む。…

※「正念」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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