歯亡び舌存す(読み)はほろびしたそんす

精選版 日本国語大辞典 「歯亡び舌存す」の意味・読み・例文・類語

は【歯】 亡(ほろ)び舌(した)(そん)

(老子友人の常(じょうしょう)病気を見舞ったとき、常の歯が抜けてしまっているのを見て、舌があるのは柔らかなためで、歯のおちたのはかたいためだといったという「説苑敬慎」の故事から) 剛強なものはかえって早く滅び、柔軟なものが後まで生き残るというたとえ。〔皇甫松‐大隠賦〕

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デジタル大辞泉 「歯亡び舌存す」の意味・読み・例文・類語

ほろしたそん

《「説苑」敬慎から》剛強なものは滅びやすく、柔軟なものは残ることのたとえ。

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故事成語を知る辞典 「歯亡び舌存す」の解説

歯亡び舌存す

堅くて強いものは早く滅び、柔軟なものの方が生き残ることのたとえ。

[由来] 「説苑―敬慎」に見える話から。紀元前数世紀の昔、中国での話。思想家の老子が、じょうしょうという人物の病気を見舞いに行きました。すると、常摐は、歯がすっかり抜け落ちた口の中を見せて、「わかるか」と尋ねます。老子が「『舌の存する(舌が残っている)』のは柔らかいためで、『歯の亡ぶる(歯が亡くなった)』のは堅いためではないですか」と言うと、常摐は、「世の中はそれがすべてだ、もう話すことはないな」と言ったということです。これは、老荘思想でよく説かれる、柔軟な生き方を勧めるたとえ話となっています。

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