歯切盤(読み)はぎりばん(英語表記)gear cutting machine

精選版 日本国語大辞典 「歯切盤」の意味・読み・例文・類語

はぎり‐ばん【歯切盤】

〘名〙 歯車の歯を専門に切る工作機械総称歯切り

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「歯切盤」の意味・わかりやすい解説

歯切盤 (はぎりばん)
gear cutting machine

歯車を加工する工作機械の総称。円筒円板などの外周面,内周面,あるいは端面に歯(歯形)を削り出すのに用いられる。歯切盤での歯形の加工方法は創成法と呼ばれ,切削すべき歯車と正しくかみ合う歯車を刃物(歯切工具といい,その形態によりホブ,ピニオンカッター,ラックカッターなどと呼ばれる)とするもので,歯形をつけるべき工作物と歯切工具が互いにころがり運動を行い,その運動の軌跡包絡線としてインボリュート,あるいはサイクロイド曲線を形成して歯形を削り出す。歯切盤には歯車の種類に対応して数多くの機種があり,平歯車の加工に用いられるホブ盤歯車形削り盤はその代表的なものである。歯車形削り盤による加工の例を図に示したが,工作物は回転運動と前後進運動を,ピニオンカッターは回転運動と上下方向往復運動を行い,しかも両者の回転運動は同期されている。近代工作機械の一種としての歯切盤の歴史は,19世紀後半にドイツでホブ盤,アメリカで歯車形削り盤が開発されたことにより始まった。現在でも歯切盤の分野ではこの2国が世界の最先端にある。最近では,数値制御技術が歯切盤にも導入され,その結果,非円形の板に歯形をつけた歯車(非円歯車),穴と外周面の中心が一致していない円板に歯形をつけた歯車(偏心歯車),歯の厚さが歯車の幅方向に連続的に変化する平歯車(テーパー平歯車)など,特殊歯車も簡単に加工できるようになった。
工作機械
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「歯切盤」の意味・わかりやすい解説

歯切盤【はぎりばん】

歯車の歯を切削する工作機械の総称。歯車の歯はフライス盤で切削することもあるが,普通は切削すべき歯車と正しくかみ合う刃物(歯切工具)で歯切りを行う。歯車を精密に仕上げる歯車研削盤もある。→ホブ
→関連項目工作機械切削工具

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「歯切盤」の意味・わかりやすい解説

歯切盤
はぎりばん

各種の工作物に歯切り加工を施す工作機械。用途と切削用工具の種類に応じて、ホブ盤、歯車形削り盤、歯割り盤、ラック歯切盤、すぐば傘歯車歯切盤、曲がりば傘歯車歯切盤、ウォームホイールホブ盤などに分類される。これらのなかでもホブ盤は歯切盤としてもっとも広く用いられ、ホブとよばれる工具を用いて、平歯車、はすば歯車、およびウォームホイールの歯形を創成歯切りすることができる。切り込みを与える形式によって、テーブル移動形とコラム形とがあり、さらにホブヘッドまたはワークヘッドが上下に移動できる形式がある。

[清水伸二]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の歯切盤の言及

【工作機械】より

…立て削り盤,形削り盤,平削り盤などはこの時期に開発された。19世紀後半以降,工作機械の発達の中心はアメリカおよびドイツに移り,この時期になると,現在のような電動機直結運転が行われ,研削盤,歯切盤などが開発された。20世紀に入ると,よりよい性能の製品を作り出すために,工作機械は急速な発展を遂げ,歯車研削盤,ホーニング盤などが開発された。…

※「歯切盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android