歴史民俗博物館(読み)れきしみんぞくはくぶつかん

改訂新版 世界大百科事典 「歴史民俗博物館」の意味・わかりやすい解説

歴史民俗博物館 (れきしみんぞくはくぶつかん)

一定の地域の歴史と民俗についての史資料を収集・研究して一般に公開する博物館。日本には,文部省直轄の機関として国立歴史民俗博物館があり,ほかに各地に〈郷土史料館〉〈民俗資料館〉などとよばれる公立私立のその種の施設が多数ある。また欧米各国にも歴史上の遺物文書民族・民俗資料を展示する,国立その他の博物館が多く,なかでもベルリンのドイツ民俗博物館Museum für Deutsche Volkskunde(1889創設)が名高い。
博物館
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国立歴史民俗博物館は,歴史学,考古学民俗学の3学問協業を通じて,日本の歴史・文化を総合的に究明し,それらに関する学問の資料を収集・保管し,研究の成果を一般に展示公開することを目的に,1981年4月に設置された研究機関で,制度的には国立大学共同利用機関法人人間文化研究機構に所属する。

 千葉県佐倉市の旧佐倉城跡の一角,約13万m2敷地に建設され,83年3月から展示場が一般公開された。展示は日本の歴史・文化をより深く認識できるよう,歴史学,考古学,民俗学の最新の成果に基づいて,いくつかの素材を提示しようとするものであり,概説的・通史的な構成をさけ,現代の視点にたって歴史の流れのなかで重要なテーマを選び,生活史に重点をおいて構成している。展示場には,まず日本の歴史・地理的条件を象徴する海を基調としたプロローグおき,第1展示室から第3展示室までは,〈日本文化のあけぼの〉〈稲と倭人〉〈前方後円墳の時代〉〈律令国家〉〈王朝文化〉〈東国と西国〉〈大名一揆〉〈民衆の生活と文化〉〈大航海時代のなかの日本〉〈百姓の世界〉〈都市の繁栄〉〈道と旅〉〈躍動する民衆〉と,原始・古代から近世までの13テーマと若干のサブテーマをほぼ時代順に配列し,第4展示室には日本人の民俗世界に関するテーマを,〈都市の風景〉〈村里の民〉〈山の人生〉〈海浜の民〉〈南島の世界〉〈再生の世界〉としてとりあげて配置している。なお近・現代に関する展示も予定されている。

 研究活動は歴史研究系,考古研究系,民俗研究系,情報資料研究系に属する専任教官を中心に,客員教官や館外からの多数の研究者が加わり,共同研究が行われている。研究成果は《国立歴史民俗博物館研究報告》として刊行されるほか,各種の出版物が刊行され,講演会,シンポジウムなども開催されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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