普及版 字通 「殿(漢字)」の読み・字形・画数・意味
殿
常用漢字 13画
[字訓] との・やしき・しんがり
[説文解字]
[字形] 会意
(とん)+殳(しゆ)。は臀(とん)の初文。人が(き)(牀几)に腰かけている形で、臀(しり)の部分を強調した字。殳はおそらく攴(ぼく)の意。殿は臀たたきの俗を示す字のようである。〔説文〕三下に「つ聲なり」とし、〔太平御覧、一七五〕に引く〔説文〕には「堂の高大なるなり」とみえる。〔詩、小雅、采〕「天子のを殿(をさ)む」の〔毛伝〕に「鎭(しづ)むるなり」とあるのは、動詞の用法であるから、殿字の初義と関係があろう。殿堂の意は臀と関係があるべきではないから、あるいは(でん)の字義であるかもしれない。〔説文〕八上にを「(たくは)ふるなり」と訓するが、神尸の前に薦腆(せんてん)する意とみられ、その祀所を殿といい、堂というものと思われる。
[訓義]
1. との、やしき、天子の御所、貴人の住所。
2. 政務を執る所、高大な建物、寺。
3. 臀と通じ、しり、うしろ、しんがり、最後部。
4. 鎮と通じ、しずめる。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕殿 度能(との) 〔名義抄〕殿 ウツ・トノ・シヅム・ミツ・オクレヌ
[声系]
〔説文〕に殿声として、澱など三字を収める。臀はの異文。がその象形字である。
[語系]
殿・澱dynは同声。(臀)dun、・dyenは声が近く、殿堂の字は、おそらく、薦腆して祀るところをいい、が本字であろう。殿に治める意があるのは、鎭(鎮)tjin、dyenと関係があるらしく、(てん)も塡塞して鎮めることをいう字である。また敦tunはたたきうつ意の字で、殿・臀と声が近く、うち治める意がある。
[熟語]
殿帷▶・殿院▶・殿宇▶・殿屋▶・殿下▶・殿衙▶・殿階▶・殿閣▶・殿角▶・殿喝▶・殿檻▶・殿館▶・殿屎▶・殿挙▶・殿軍▶・殿闕▶・殿後▶・殿最▶・殿試▶・殿舎▶・殿省▶・殿上▶・殿寝▶・殿▶・殿前▶・殿闥▶・殿中▶・殿直▶・殿庭▶・殿廷▶・殿頭▶・殿堂▶・殿罰▶・殿班▶・殿廡▶・殿陛▶・殿兵▶・殿本▶・殿門▶・殿闌▶・殿廬▶・殿廊▶
[下接語]
幄殿・帷殿・宴殿・外殿・寒殿・貴殿・綺殿・旧殿・宮殿・金殿・禁殿・錦殿・月殿・御殿・香殿・斎殿・祭殿・三殿・山殿・紫殿・贄殿・社殿・朱殿・升殿・昇殿・上殿・神殿・深殿・寝殿・正殿・夕殿・大殿・帳殿・堂殿・内殿・拝殿・飛殿・舞殿・仏殿・別殿・便殿・宝殿・本殿・夜殿・浴殿・蘭殿・礼殿・霊殿
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報