毛遊び(読み)モウアソビ

デジタル大辞泉 「毛遊び」の意味・読み・例文・類語

もう‐あそび

《「もう」は野原の意》沖縄諸島で、青年男女が夜なべ仕事を終えてから野外に集まり、三線さんしん小太鼓に合わせて歌い踊る風習。もうあしび。
[補説]「毛遊び」とも書く。

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改訂新版 世界大百科事典 「毛遊び」の意味・わかりやすい解説

毛遊び (もうあそび)

琉球諸島で,若い男女が夜,村から離れた野原などに出て,歌をうたい,踊をおどって楽しむ習慣。方言モーアシビーという。モーは野原の意で,村の辻の広場に集まるのを,アジマー(辻)遊びともいう。若者が夜,外に出て遊ぶ風習は各地にあったが,毛遊びはまとまった野外の集いの形をとっているところに特色がある。若者や娘が仲間どうしで寝泊りする若者宿や娘宿の習俗の一形態で,一人前と認められる15歳ごろから結婚するまでの間参加する。娘宿のあった村では,若者が娘宿へさそいに来て,いっしょに毛遊びに行ったという。村の若い男女にとっては,配偶者を選ぶための交際の場で,毛遊びで結ばれて結婚する例は多かった。毛遊びはほとんど毎日行われ,おのずから村に伝わる歌や踊を習得する機会にもなっていた。明治以後一般に普及した三味線も,この毛遊びをとおして,民衆の楽器として定着した。
歌垣(うたがき)
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百科事典マイペディア 「毛遊び」の意味・わかりやすい解説

毛遊び【もうあそび】

琉球諸島の遊び。〈もう〉は野の意。15歳ごろから結婚前までの村の若い男女が野原で三線(さんしん)にあわせて歌い踊るもので,配偶者を選ぶ社交の場として機能した。→歌垣
→関連項目ミャークニー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「毛遊び」の意味・わかりやすい解説

毛遊び
もうあそび

沖縄の村で青年男女が夜間野外で行なった交際習俗。「毛」は野原,「遊び」は歌と踊りのことで,海岸の村では遊びが浜辺で行われていたので,浜遊びとも呼ばれた。参加資格は男子が 17歳から 25歳,女子は 15歳から 22歳までの未婚者に限られた。おもに男たちが弾く三線太鼓の音に合せて,娘たちが歌い踊り,さらに好きな者同士が一夜をともにすることもあって,若い男女の重要な交際の機会であった。沖縄本島では明治末期まで,離島では大正末期頃まで行われていた。

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