水産都市(読み)すいさんとし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水産都市」の意味・わかりやすい解説

水産都市
すいさんとし

単に都市内に漁港を有するだけでなく、その都市がもつ機能のなかで水産物の流通や加工などの比重が高い都市をいう。特定第3種漁港(全国の漁船が利用する第3種漁港のうち、水産業の振興上とくに重要な漁港を政令で定めたもので、遠洋漁業沖合漁業の拠点港となっている)などの大規模漁港をもつ八戸(はちのへ)(青森県)、気仙沼(けせんぬま)・塩竈(しおがま)(宮城県)、銚子(ちょうし)(千葉県)、三浦(神奈川県)、焼津(やいづ)(静岡県)、下関(しものせき)(山口県)、長崎や、釧路(くしろ)(北海道)などが有名であり、大型漁船が横付けする埠頭(ふとう)と魚市場を中心に、水産会社、水産問屋・仲買業者、水産加工場、水産物冷凍冷蔵庫、関連運送業者・鉄工所、大型漁船向けの消費物資を扱う商店や飲食店などが集積している状態が典型的な景観とされる。また活発な水産業活動の存在は、その都市の観光の一要素としても寄与している。これらの水産都市の多くは、現在、漁業活動の低迷などにより、最盛期に比べて同地への水揚げ量が縮小している。なお海外では、規模や景観などで日本とは若干異なるが、ノルウェーベルゲンアメリカシアトルカナダバンクーバーやセント・ジョンズなどが水産都市としてあげられる。

[井村博宣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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